わたP

処刑人のわたPのレビュー・感想・評価

処刑人(1999年製作の映画)
4.0
ウィレム・デフォーの狂演!

敬虔なクリスチャンの兄弟が喧嘩のゴタゴタから正当防衛でロシアンマフィアを殺してしまったことから彼らは悪人を次々と殺していく。そしてそれを追うFBI捜査官の関係性が面白い。マフィアを殺す兄弟のシーンとその現場をみて見事に推理を当てて行く捜査官のシーンが交互に描かれるがどちらにも爽快感のようなかっこよさがある。
特にウィレム・デフォー演じる捜査官の特異なキャラクター性が光る。
中盤、その2つが交差し、まさに「処刑」を実況するウィレムのシーン、あの狂気たるや凄まじいのであるが、そこから彼は法の限界を知り、神に助言を求めラストに繋がるのである。

物語の冒頭は兄弟が(恐らく彼らの母が過去に殺されている?)教会を出る瞬間神父が、「真に恐るべきは、善良なものたちの無関心」だと語る。兄弟は教会を出、「神父もやっと気づいたぜ」と語って始まる。
彼らの「処刑」は連日報道され、否が応でも「善良なもの」の目に触れる。
そしてラストは彼らの行いについてのインタビューシーンでエンディングを迎える。


スタイリッシュなアクションやウィレム・デフォーの存在感が印象的であるが、この映画が真に伝えるのはこの「無関心」である。
殺人の是非やウィレムの心変わりにクエスチョンマークをつけさせることこそがこの映画の意義なのではないかと感じた。
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