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TENET テネットのrollinのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5
僕らのミライへ逆回転

人類史上、アインシュタイン、飛呂彦先生と並んで時間のことばっか考えてる時間ヲタ、ノーランの最新作。個人的にノーラン作品で一番好きな『インセプション』派生の後続作品として、また優れたSci-Fi作品として、劇場で観る価値に溢れたNew Classicの誕生でございます。

画面内の一部オブジェクトだけが徐々に逆再生されていく奇妙な映像的冒険。ルール説明に丸々半分の時間を費やした『インセプション』と構成はほとんど同じなんだけど、本作ではルール説明を小出し&アクション多めの配合にしたことで、バランスが調整されて求心力が増してる印象。後半から終盤にかけてのさらっとした伏線回収や、映画全体に散りばめられた謎密度の濃さからして、これは反芻・周回して初めて実体が把握出来るやつですな。

ほいてばんほいてまによる硬質&緊張感漲る映像に脳汁プッシャー。そしてJDワシントンの完成された主役オーラが圧倒的。スタイリッシュ。チャドウィック・ボーズマンの訃報は本当に残念だったけど、個人的には是非この人にティ・チャラ役を引き継いでもらいたい。
ロバート・パティンソンのナイスガイ具合もクールだったし、ケネス・ブラナーのクズ演技もキマッてましたな。あとアーロン・テイラー=ジョンソンはほんとええ役者になりましたねぇ。

肝心の時間逆行映像に関して、作り手の労力に見合った斬新さを生み出せているかと問われれば正直微妙なんだけど、この地味さが良い。〝逆行弾〟や〝回転ドア〟といった厨二ワードも文系好奇心をカバーしてくれます。あと感じたのは、最近ストリーミング映像ばっか観てて逆再生とか巻き戻しとかしてないなぁ〜ってこと。そういった意味でもノーランのアナログ気質というかストリーミング文化への抵抗心を垣間見た気がする。

ウケたポイントは、高速道路に戦隊モノのような原色マシンたちが集結するシーンでなかなかロボへ合体出来ないところです。
まぁ、素面で考えたら何でこんな回りくどいことやっとんやろ‥?って内容ですけど、それがノーラン作品の良いところ!これからも応援してます!!

‥にしてもやっぱ飛呂彦先生ってすげぇわ。ノーランよりはるか先行ってんだもんな( ◜◒◝ )♡
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