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TENET テネットのCUTのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.0
『TENET テネット』 感想
【フィルマ用に、短縮バージョンで】




大衆向けだし話題にはなると思っていましたが、まさかここまでの盛り上がりを見せるとは!



『TENET テネット』(原題:Tenet)は、2020年公開のクリストファー・ノーラン監督・脚本・製作によるSF映画。

日本では2020年9月18日公開。
アメリカでは、これを書いている20年10月8日現在も、ニューヨークなどの都市では未だに公開されていませんし、劇場の休業情報が出たりしています。油断ならないな、と思いますね。



その分、思いっきり楽しもうと思ったし、予想以上に楽しみましたよテネット!

悔しいけど、まさかノーラン監督作品でここまで楽しむ事になるとは思わなかったです。
(過去作が嫌いとかって訳ではないんですが・・・)

【ここまで1つの作品について考えるなんて映画体験も久しぶりなので、それも加味してのスコアです】






〇監督の常套句



ノーラン監督作品は、映画としては、ある意味わかりやすい方だと思います。

奇抜なトリックや狂気的な実写へのこだわりも凄いけど、映画そのもののメッセージ性は、わりとシンプル。ほとんど全ての作品で、物語の最後には台詞でメッセージを残していますよね。
主人公など登場人物の語りで監督の意思や矜持を披露しています。

ダイナミックな映像や演出は、言いたい事とは別に監督が魅せたいもの。もしくは言いたい事を言うまでに観客を飽きさせない為の、フックだと思います。
音楽でいえば、キャッチーなイントロやサビ。

なのでノーラン監督は全作品において“ドルチェ&ガッバーナ”的フレーズを作ることに成功している監督の一人でもあると思います。
いやもうちょっと凄い、つんく♂さんや中田ヤスタカさんぐらい、いつも独自のセンスを発揮する作家性を持った監督ですね。




パンフの監督インタビューで、脚本を書くときに考えをまとめるために、図形を使って物事を考える事が多い、と。「インセプション」での「ペンローズの階段」もそうらしい。それで、ライムスター宇多丸さんがダークナイトの評論で「ノーランの得意としているのはリアル化ではなくむしろ抽象化なんじゃ」と言っていたのを思い出しました。映画全体が図形っぽいっていう印象は、他の作品を見ていても確かにと思いますね。

あぁでも、私はどちらかというと図形というよりアーティストが作る音楽のような捉え方のほうが、理解できますね。詞と曲で同時に表現する感覚というか。




で、今回もやはり最後に出演者の語りでメッセージを残してましたね。
独特な設定を上手い言葉遣いで紡いでいるからそこが常に注目されがちだけど、個人的には「また最後にセリフで説明したな」と思ったりもします。
ただ今作においては、設定が難しいからこそメッセージはシンプルにしたのかもしれませんが。。。


そんなラストシーンではキャットと子供が歩いていく後ろ姿が写されていました。
大切な人たちには知られてなくとも、この世界の為に仕事をこなし、子供達が平和に暮らせる世の中を作るのが使命。それが監督が思う『大人の矜持』なのかなと、感じました。
親子の後ろ姿を見守る視点と、その時の「爆発を知る由もない」というセリフがそう感じさせました。
何も知らない子供と、知っているけどそれを隠す親。そしてそれを遠くから見守る、別の大人・・・なんか怪しいというか、可哀そうな様で自己満足的な様な・・・。


「プレステージ」のラストで語られたような、映画人としての矜持っぽさもある気がします。
あと監督なりの大人の矜持。
それがスパイ映画で語られるというのも、何か相反しているようで面白いです。



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時間がどうのは完全に理解できないし突き詰め過ぎないようにしました。そうやって話すのが楽しいですしね!!!


でもやっぱり最後の作戦の意味ややる理由って説明してなくない?
あとカーチェイスの時のセイターがどの時間軸の人っていうか、順行逆行がどちらかがわからない!
だからその後の、『14日前』のクルーズ船のセイターはどのセイター?ってなります・・・



過去の自分と対峙するな的な忠告もあったけど、過去の自分にバレなければ接触してもいいんだ、っていうのタイムスリップものでよくある光景ですよね(笑)




という感じで、ここまで話したのにまだ何かああだこうだ言いたくなるので、ぜひみんなで見て楽しんでほしい、おすすめです!
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