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ひとよの821のレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.5
白石和彌監督って、安定していい作品を撮りますね。かれこれ数作見ていますが、全部良作だなという印象です。

今回の作品は犯罪加害者の家族がテーマという事で、離散して破れかぶれになってしまった、荒んでしまった一家の話かと思えば、意外と「絆」が強調された温もりの漂う作品になっていました。厭世的な雰囲気がもっと強く漂うのかと思えば、「もう一度家族をやり直す」ことに対して前向きなストーリーになってた。登場人物たちがそれぞれを思いやる気持ちが根底にあった作品だなと思いました。

とにかく、役者陣が上手いこと。佐藤健も、鈴木亮平も、松岡茉優も、そしてもちろん田中裕子も。脇を固める方々まですごく見応えがありました。松岡茉優ちゃんはこういう、根が明るくておとぼけキャラ演じるの上手いな。

割と『怒り』的なストーリーかと思えば少し違って少し拍子抜けはしましたが、日本が直面する社会問題についての問いかけも要所要所に含まれていて、見応えのある良作でした。
でもやっぱり、白石監督作で言えばインパクト強い『孤狼の血』とか『日本で1番悪いやつら』の方が好き。振り切ってる感が好き。
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