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ひとよのbeachboss114のレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
5.0
ストーリーも演技も文句ナシの名作が来ました!

救いのないほど重苦しい話にもかかわらず、タッチが陰惨にならないのがいい。

ありがちな「被害者アピール」や「不幸自慢」や「同情強要」じゃなく、前向きなバイタリティーで日々を静かに強く生きている様子に共感。重い事情を背負わされながらも、みんな背筋がシャンとしている姿に好感が持てる。

圧巻はやはり田中裕子。飄々としながらも芯があって力強く、親としての覚悟が全身から自然に滲み出ている。人ひとり殺しておきながら、粗大ゴミを片付けて帰宅したかのような冒頭からして意表を突かれた。「面倒なことはお母ちゃんが全部やっといたから、後はお前たち安心して暮らせ」みたいな(笑)。

「ひとよ」は「一夜」、そして「人の世」。人生、明けない夜はない。暗く長い夜が明けたことを象徴するラストがまた清々しい。
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