ひとよ
この作品を観てやっぱり白石監督の作品好きだなって思う、最近は特に
重いテーマをただ重く描くのではなく興味を持たせるような人物描写をするから動機を深掘りしたくなる
沢山あるけど一番はやっぱり田中裕子さん演じる母親かな
妻が夫を殺めてしまうのが衝動的ならまだしも、葛藤を繰り返した上の覚悟であること
15年とその後転々としていた日々は犯した罪に苦しめられ、選択は正しかったのか迷い、子を思う毎日だったかと
子供達のその後の苦労も想像し得ただろうし、もう会わない事も子供達の為にはと考えただろうけど、それでも子供達の迷いを振り払おうと会うと決めた覚悟
よく観る二時間ドラマのような描写ならまだしも、人殺しの考えてる事なんて分かるわけないないと切り離せないものがこの作品にはあって
犯行時には愛していたかもしれない夫を殺めるというのは子供への愛なのか、子供を守る本能なのか、とか
子供達はごっそり抜け落ちた15年間分、深まる愛情や会いたいと思う気持ちがあっただろうし、相対するように受けてきた苦痛もある
そんなごちゃ混ぜになったような子供達の感情がうまく表現されていたと思うし、そんな親子の不器用でぎこちないやり取りに観入ってしまう
人間味やおかしみ、どんなに辛くても食べたりやったりという日常もしっかり描かれていたし、音尾さんや、出オチ感満載の浅利さんも笑えたし、舞台原作だけに人の立ち位置とかもそれっぽかったり
とにかく濃密で一週間前に観た映画だけど感想がうまく出てこない