ベルベー

デッド・ドント・ダイのベルベーのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
2.4
ジャームッシュが歴代エースプレイヤーを揃えて撮ったゾンビ映画という、なんとまあ気になる作品だったわけですが…その…凡作。外連味はあるけどそれしかなくて凡庸さを隠しきれなかった。そんな感じの作品です。

まあ、肝心要の大筋が「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」そのまますぎて…。元ネタまんまでも面白い作品というのは存在するのだけど、本作のアカンところはキャラクターを描けていないことだと思う。「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」は主人公たちのおかしくてちょっと悲しい人生がちゃんと見えてきたもんジャームッシュ。悪趣味さで言えば「デッドマン」を思い出したけど、ジョニー・デップ演じる主人公を雑に描いてたらあれだって全然面白くないと思う。「ジムから貰った台本にはこんな展開なかったぞ!」みたいなメタギャグで誤魔化す前にキャラを作り込んで欲しかったなあというところ。

生前の行動に引っ張られるゾンビというのも、日本では「アイアムアヒーロー」があったわけでして。「ゾンビランド 」くらいはっちゃけてやってくれれば或いはだけど、ジャームッシュそういう監督じゃないもんなあ…。シンプルにお話が弱い上に、ジャンルファンを狙うにはゾンビものは様々な面白パターンをやり尽くしてると。いつものジャームッシュ組揃えただけでは弱い。

「マリッジ・ストーリー」でストレートな泣きの演技も素晴らしいことを証明したアダム・ドライバーにやらせるには今ひとつなキャラだし、ビル・マーレイは毎回こんな感じ…ではあるけど、この2人のタッグだったらもっと間の抜けた掛け合いが見たかったなあ。実は宇宙人だったというアホなオチにも説得力を与えるティルダ・スウィントンの非人間感は面白いけど。面白いけど、ゾンビものに彼女をぶち込んだ化学反応は起きてない。

酷い役なのに受けてくれたセレーナ・ゴメスの使い方も大変勿体ない!これはダメだ!多分死ぬシーンをカットしたんだろうなあと思うが。スティーブ・ブシェミ、ダニー・グローバーらベテラン勢もよく受けてくれたな笑。ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、オタク店主ぶりはナイスだが、ホビットネタは滑ってたような…それならイライジャ・ウッドキャスティングすべきじゃないか?オファーしたら出てくれそうだし笑。
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