おさかなはフィッシュ

デッド・ドント・ダイのおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
3.0
毎年お盆に墓参りに行く、祖父の墓のある霊園へと向かう道中が思い浮かぶ。田舎はどこも似たようなものか。そんな幕開け。
鬱蒼と茂る緑に囲まれた田舎町。閉ざされた暗い空間に、不穏な気配がじわじわと充満していく。
緊急事態宣言下も映画は観ていたはずなのに、これが映画だ!とワクワク。(途中でチャンネルを変えられる心配もないからな。贅沢。) 満月の妖しい光。十分に時間をかけ、劇場内に潮が満ちる。(まあそこから、肩透かしを食うわけですが。)

静が死で動が生なら、ゾンビと映画の親和性が高いのも頷ける。止まっていたはずの身体が、映画の不思議な力で動き出す。
生死というラインを踏み越える。戻れ!人生を生き直せ! しかしながら、Wi-FiやBluetoothを求めてウロウロするのが関の山。悲しきゾンビたち。
執着という感情が人間らしくていじらしい。私たちもみなゾンビ。一度踏み越えてしまうと何でもありで、大ハシャギのティルダ様にメタ有りにともはやお祭り騒ぎの様相。ちょっと呆然。Thriller〜、thriller night〜と頭の中ではマイケルたちが踊っていた。

三人並んだ男がセレーナ・ゴメスに「3ドルバラせる?」と訊かれて、ポケットを探るスピードの違いが好きだった。ほとんど動かないビル・マーレイ、一番乗りのアダム・ドライバー。静と動の愛らしいシーン。



火葬の国に住んでいるとゾンビって馴染みがないよなあと考えていると、ネット上に押井守監督のインタビュー記事が掲載されているのを発見した。ゾンビは即物的。なるほど。



映画館で映画を観るのも、電車に乗るのすら二か月以上ぶり。
続々と営業再開されていてなにより。映画館がなかったら、会社帰りや休日、路頭に迷ってしまう。

横浜ブルク13にて鑑賞。