しゅんまつもと

クロール ー凶暴領域ーのしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

クロール ー凶暴領域ー(2019年製作の映画)
4.0
ハリケーンにワニ。久しぶりに景気良さそうな映画やるな〜と予告見た時からワクワクしてた。
兎角こういう映画をB級映画と片付けがちになるけど、B級なめんなっていうかそもそもB級とかなんだよって感じだし、なによりこの映画はむちゃくちゃ傑作です。とにかく見に行くべき。見に行かなきゃワニに食べられるよ。

水泳に打ち込んだことをきっかけとして壊れた家族と親子関係。その家族がかつて住んだ家が水没し、地下に閉じ込められた父娘がワニから逃れながら地上を目指すというそのプロットだけでもうガッツポーズ。さらに細かい描写が堪らなくいい。幼少期に柱に刻んだであろう身長の跡は上がってくる水位を言葉なく示す役割を果たし、懐中電灯の灯りは発煙筒の光からヘリが照らす光へと変換されていく。
ワニに襲われていようが、人は顔に虫がついたら嫌がるし犬がいたら安心する。そんな細やかで人間臭い心理描写はディザスタームービーにとってむちゃくちゃ大事な要素だと思う。

絵空事で済ませてしまいそうな話ではあるけれど現実のことを考えたら、巨大台風みたいな災害には「どうしようもない」という言葉で済ませてしまいがちになってしまう。でも本当にそうだろうか。どうしようもないかもしれない、けれど人が人の生き方を諦める理由にはならない。人には想像力や経験値や知恵も信念もある。人間なめんな!