もしかしたら優しい終わり方をしてくれるかも…という淡い期待を叩きのめす、後半の阿鼻叫喚は流石韓国面。
というかポンジュノの狂気。
富める者と貧しい者、
高い立地の家と半分地下の家、
分かりやすいくらい両極端の構図が、一方の生活に寄生するという設定の下で、両者の立ち位置が完全に分断されずに溶け合うことで、どちらにも共感できるのは、作り手側の構成力の塩梅の妙だと思う。
自分の部屋に知らないうちに土足で歩かれる生理的嫌悪感と、貧しいが故に尊厳を踏みにじられることへの同情と怒り、どちらの側にも共感できる…
からの文字通り急転直下で転がり落ちるソン・ガンホ一家。
そもそもソンガンホがいる時点で凄惨な事が起こるのは必然じゃないですか…
ゆっくり坂と階段を登り、
落ちる時はどこまでも下っていくしかない階段のシーン、
それから影と光が極端に分断される画造りなど、画自体のストーリー誘導力は流石だし、どこまでも好こ。
2019年は、「ジョーカー」など、富める者と貧しい者の分断線が色濃く反映された映画シーンだったわけですが、今作のパンフレットで町山さんが書いている「それでもプランを諦められない」、延々にも思える貧しさからの呪縛という世界に蔓延する病巣を、一級のエンターテインメントとして楽しめつつ、悶々とできた今作だった
ただ、2度目は絶対観ないとは思う