ゆみゆみ

パラサイト 半地下の家族のゆみゆみのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.5
アカデミー賞に間に合わず、作品賞を獲ってからの鑑賞になったので、平日昼間にも関わらず満席で観ました。

貧富の差を描いた作品。まぁこれに尽きるのかなと思いました。
映像表現がアメリカ人好きしそうな感じがしました。

半地下の家に住むキム一家は貧しく家も地域も不衛生で、生きる為に必死なのに報われない。反対にパク一家は驚くほど豊かでお洒落で広い家と庭を持ち、いい物食べて暮らしている。
キム一家の家は狭くてごちゃごちゃと色んな物で溢れて一歩家の外に出ても変わらず雑多な地域で、パク一家は無駄なものが一切なく広く開放的な家に家政婦までいる。ことごとく両家の貧富の差をその物の多さ雑多さと広く大きな何もなさの対比を画面に表して見せつけている。

ストーリーは韓国ならではの怖さとコミカルさがあって一瞬も目が離せないほど引き込まれた。
結論としては観た方がいいです。

ネタバレあれなんで、下に感想続けます。





**以下ネタバレします**














後半の展開はもう無茶苦茶やなって感じなんですけど、勢いでいけるやつです。あんまり深く考えてる余裕ないくらい一気に話が進むので、ずっと興奮気味に観続けました。

一番驚いたのが元々いた家政婦の裏の顔。彼女も勝ち組だと思われたのに実は彼女こそ旦那と共にパク一家に寄生してたって結末。一見の見た目と実際の違いって一番怖い。逆にキム・ギテク(お父さん)は元々表彰されメダルを受けるような何かで長けた人だったんだね。それが結果ああいう半地下暮らしに至るっていうのが切なさとやるせなさを感じる。

パク家からギテク、ギウ(息子)、ギジョン(娘)が雨の中で自分達の家に逃げて行くんだけど、その時ひたすら長い階段をいくつも降りて行く描写がもう秀逸で、あぁこの人達はパク家のいる高嶺から堕ちていくんだなって泣きたくなる。

帰ってみれば半地下の家は洪水で水浸し。踏んだり蹴ったりの中、汚水が吹き返すトイレの蓋の上に座ってギジョンがタバコをふかすシーンは貧しさの中での諦めとも逞しさとも思える印象的なシーンだった。

ラストの父へ宛てた息子の手紙は時系列としてはまだ貧しいままの今現在で、手紙の内容に沿うように父親が地下から出てくる映像は願望なんだろうと思う。私は「お金を貯める」って言ったギウの言葉に嘘はないと思うけど半ば諦めの父親を慰め励ますだけの言葉にも聞こえた。

結局一度できた差は埋まらないし、富める人々が認めない限り貧しい人々が上に上がって来れることはないんだなって思った。
希望に溢れたラストのように見えて実は絶望なのかなって思った。


ポン・ジュノ監督作品は初なんです。「母なる証明」「殺人の追憶」は観ようと思いつつまだ観てなくて。
時間見つけて観たいと思いました。
ゆみゆみ

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