このレビューはネタバレを含みます
『カメ止め』上田慎一郎監督含め、3人の監督によって製作されたどんでん返しムービー。
ただ前半の伏線の振り方が下手なせいで、タイトルコールおよびクレジットからの大きな種明かしの爽快感が一切ない。画に描いたような、明らかに不自然な言動が多いため、展開が読めてしまった。正直悪趣味な金持ちがモニタリングしていたという設定もありきたりで新鮮味がない。
しかし、どんなに悲しいことがあっても、今周りにいる者たちとともに「ゆっくり生きていく」ことこそが、本作が1番伝えたかったことなのかもしれない。浮気癖のある両親に引っ張られる娘を背後から映すあの1場面は本作のもつメッセージそのものを象徴していた。
また、ヒロイン3人の魅力は大いに醸し出されていたと思う。それぞれ個性豊かに描かれていたことには好印象が持てる。
ただし3人の監督の作家性がばらばらであったためか、どこかとっ散らかしたままで完結してしまったのは如何なものか。ヒロインの演技力が良かった分、肝心のストーリーにはもっと捻りが欲しかったところ。