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るろうに剣心 最終章 The Finalのこどものレビュー・感想・評価

4.3
邦画屈指のアクションシーンに隠れてしまいがちになるが、「るろ剣」がシリーズを通して描くのは「過去の呪縛」である。
どんなに変わろうと決心しても、過去の自分を周りの人間が忘れることは決してない。それでも、抜刀斎と罵られながら人を活かす剣を振るう剣心は、常に前を見ている。過去の自分に苦しめられながら、しかしそれを全て背負い生きる剣心の姿が、映画にブレない強さと、彼なりに正当化された「正義」の齎す一種の安定感を与えている。

この映画に於ける「過去を背負う」という生き様は、そのまま彼等キャラクターが振るう刃に反映される。そして本シリーズは、この部分の精度が極めて高いと感じる。殺陣の上手さとはなんだろうか。「キャラクター『で』刀を振るった時の違和感の無さ」が非常に重要な点だと思っている。例えば、剣心と縁の振るう刀の種類は全く違う。志々雄が振るう刀と、宗次郎が振るう刀も。それぞれが全く違う刀の振り方をするのは、それぞれが全く違う人生を生き、それを背負っているからなのである。「るろ剣」はその魅せ方が、上手い。殺陣は突き詰めれば、どこまでも「芝居」の一環であるという事実にハッとさせられるようで、シリーズの新作を見る度に、そのキャラクターの偏執的なまでの作り込みに楽しい驚きを感じるのだ。
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