TAK44マグナム

スマホ拾っただけなのにのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

スマホ拾っただけなのに(2019年製作の映画)
3.9
野糞をすれば良かったのに!


自主製作ながら本格的な格闘アクションで我々の度肝を抜いた「一文字拳序章 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い」の中元雄監督が、今度は「カメラを止めるな」もビックリなホラーパロディで再びガツンとくる一発を放ってくれましたよ!
それこそが本作、「スマホ拾っただけなのに」!
あれれ、どこかで聞いたようなタイトル。
意識しているどころか、正々堂々とパクっていますね!
スマホは落とすのみならず、拾っただけでも危険なんだよ!と、テクノロジーに依存する現代の若者へ警鐘を鳴らす作品・・・というわけでは勿論なく、映画好きが映画好きを楽しませるために愉快な映画を作ったよ!てな感じなので映画好きとしては見逃しちゃならない案件じゃないですか。
というわけで観ましたよ〜!


大学の映画同好会で一緒だったサイトウ、スズキ、アオヤマのボンクラ3人組。
「フレディの鉤爪はどっち?」
「じゃあ、アッシュのチェーンソーは?」
などと、暇さえあればホラーキャラクターがどっちの腕に武器があるだの、ぶった切っただのクイズを出し合うぐらいの(ホラー)映画好き。
彼らは卒業旅行と称して群馬へやって来ていた。
サイトウがホテルの予約を忘れて途方に暮れていたところ、道端に落ちていたスマホを発見。
可愛らしいスマホケースから若い女子のモノだと推測した3人は、こりゃ出会いがあるかも!と心が踊る。
そこへタイミングよく落とし主から電話がかかってきたので応答、近くの駅で待ち合わせる事となる。
やってきたのはOLのユウカで、お礼をかねて観光案内をしてもらうことに。しかし、途中の山道で車がパンク!
しかもアオヤマが腹痛を起こし、もうトイレに入らないと間に合わないという騒ぐ始末。
仕方なく周辺を探すと、運良く一軒の民家が見つかった。
しかし、玄関の扉を叩いても応答がない。アオヤマが限界だと言うので、家人には後で理由を話せば何とかなるだろうと、勝手にあがりこんでしまう。
アオヤマはスッキリしてご満悦であったが、そこへ家人らしき婆さんが物凄い形相で怒鳴り込んできた!
「この強盗め〜!」
興奮状態の婆さんは取りつく島もない。
言われるがままにサイフやスマホを取り上げられる4人。
すると今度は口から血を垂らした爺さんが現れた!
やはり4人を強盗だと決めつけた爺さんは、チェーンソーをドルドルいわせながら問答無用で襲いかかってきた!
驚いたサイトウ達は一目散に逃げ出すが、悪夢はまだ始まったばかりなのであった・・・!!


3人の中でも異常なぐらいヘタレなのが主人公のサイトウで、冒頭からしてサイトウがLINEで片思いの相手に告白して速攻で振られるところから始まるぐらいのヘタレ。
部屋に置いてある人形は13金のジェイソン。
レベル10のヘタレかと思ったらボンクラのレベルも10だった!みたいな!
このサイトウが何かといっては妄想に耽る場面が多く、そのヘタレっぷりが多少クドく感じるかもしれません。
まぁ、本作はサイトウの成長物語でもあるので、その辺りは致し方ないでしょう。
ヘタレであればあるほど終盤の展開が活きて、カタルシスを生むわけですから。
というか、中盤はホラーテイストのコントですよ。
ツッコむのも疲れるぐらい(苦笑)
だって相手は爺さん婆さんですから、皆んなで真っ先に外へ出て、とにかく全力で逃げれば捕まりはしないでしょう。
なのに何故かバラバラになり、いつまでも家の中を彷徨ったり、外へ出たとしても誰かが家の中なので助けるために戻らざるおえなかったり。
爺さんの車で脱出できるチャンスにも、免許が無いだのマニュアル車は無理だのと、本当にヘタレ!
殺されたくなかったら見よう見まねでもチャレンジはするでしょうに!
サイトウなんてユウカを囮にしますからね(汗)
こんなんでモテるわけがない!

そんなドリフのコントを続けているうちに、ついに進退窮まった4人。
いよいよチェーンソーが唸って血の雨が降るのかと思いきや、警官が突入してきますよ、1人だけど!
しかも、この警官役は、白石晃士監督の拷問ホラー「グロテスク」でキチガイのお医者さんを驚異的な狂いっぷりで演じていた大迫茂生じゃないですか!
本当に警官なのかと疑ってしまうレベル(苦笑)

他キャストでいうと、何と言ってもスクリームクイーンの冨手麻妙(元AKB48)が大車輪の活躍ぶり。
多彩な顔をみせてくれます。
あと、ムッチリとしたエロスを感じさせる見事な太もも!
彼女の全てを見たければ、園子温監督の「アンチポルノ」をどうぞ♪

そうそう、カンフー映画オタクのスズキ役は一文字拳こと茶谷優太!
本作では華麗なアクションは封印して、女子に目がないボンクラ役に徹しております。
サービスなのか?蛇拳のポーズをやったり、後半はトラックスーツ風の黄色い衣装にチェンジ、ヌンチャクも持ちますよ!
使い方は違ったけれど!


たぶん、(実のところ観てませんが)本家のスマホを落としちゃったやつより面白いはず!
伏線回収は、明らかに「カメラを止めるな」から頂いていますが、きっと最初にそれがありきなのでしょうね。
そんなわけで全編ホラーというわけでも無いのですが、日本のスプラッターキングである西村喜廣監督も協力しているので、ちゃんとグログログロリンチョも用意されています。
ガチなホラーファンの皆さんも安心してくださいね!


「一文字拳序章」同様、低予算感は否めませんが、創意工夫と溢れる映画愛をもって、キッチリと面白おかしく仕上げてくるあたり、中元監督のセンスは本物だと確信致しました!
ヴァンヘイレンやA-haの微妙に音を外した格好良い曲は、JASRACノーサンキュー!って事なのでしょうか。
このセンスも嫌いじゃない。
寧ろ好き!
今後、本格的な商業作品に移行していっても、この熱い情熱を忘れずに、楽しい映画体験をお願いしたいと思います♪


最後に・・・
もうスマホは拾いません!!
(↑いや、拾ってあげなさいよ!)


アマゾンプライムビデオにて