泣く子も黙る平和のアイドル

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版の泣く子も黙る平和のアイドルのレビュー・感想・評価

3.8
見終わって今、なんともいえない感情に包まれている。
哀愁、郷愁、呆然、軽蔑、さまざまだ。

どうしてもゴッドファーザーやスコセッシのグッドフェローズなどのギャング名作と比べてしまうが、ゴッドファーザーにある、ある種の神秘的な物語ではなく、欲望と性に塗れた物語としてスコセッシの方に近いか。

登場人物は本当に碌でもないけだものばかりで、その哀愁あふれる表情に感情移入しかけたデニーロ演じるヌードルスもまたケダモノであった。
車でのレイプシーンは本当に胸が苦しかった。
その後の運転手の対応(デニーロから渡された金を拒む)が唯一この映画で高潔なシーンなのではないか。
(彼もまた暴力を恐れ、その行為を止めることはできなかったのだが)


最後のデニーロの表情はあまりにもすごい。
何が込められているのか、理解できずとも震えた。

4時間近いから分けて見ようと思っていたが、そのまま全て見てしまった。全く無駄がない。

見終わって振り返ると、デボラとヌードルスが子供の頃、聖書の雅歌を読み上げるシーンがあまりに美しく、切ない。