ひでG

パブリック 図書館の奇跡のひでGのレビュー・感想・評価

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)
3.6
図書館職員の映画を公立図書館で借りて鑑賞。

気になっていた1本。

6人に1人が貧困レベルに堕ちてしまった日本だから、他国事ではない。

ただ、週末に利用する近所の図書館には、
明らかにホームレスに見える方は拝見したことはない。

主人公が勤めるシンシナティの公立図書館は、開館からホームレスが並び、1日そこで過ごす。
「臭い」と入館を拒否されたホームレスが訴訟を起こしたり、裸の男が歌ったり、
まあ、映画化にあたって、ちょっと強めの味付けをしたところもあるだろうけど、

日本に比べて、public(原題)要素が濃いかもしれない。

と、ここまで書いて、「公立図書館 ホームレス」と検索してみると、日本でもこの問題が無いわけではなかった。

publicだからどんな人も受け入れるべきか
他の利用者のことも考えるべきか、という案件があるらしい。

難しい問題ですね。この映画は、外で暮らすと命にかかわる極寒な夜、ホームレスたちが一夜の宿として、公立図書館にやって来たことがテーマ。

映画の中でも、ここ以外の退避場所、シェルターが必要!という議論が出てきたが、

我が国だって、それは同じこと。まずは、
それこそpublicな避難場所をもっと設置するべきだと思う。

さて、そんな、なかなか他に見なかった事件を、監督で主演のエミリオ・エステバスが演じる図書館員を中心に描いた本作。

テーマはとても新鮮だったけど、映画としての盛り上がりにはやや欠けていると言える。

映画は絵で観る、画面で伝えるもの。

本作の二つの、んん、「そうは見えないな」と感じた箇所が、映画の推進力を弱めた。

一つは、図書館を訪れるホームレスたち。
まあ、描き方が難しい面もあるだろうけど、路上生活感があまりしない。

二つ目は、外の寒さ。何回か屋外に出る人たちが(筋の中では重要な場面で)屋外に出るんだけど、凍えた感じ、身体が変化する感じが殆ど描かれず、
これだと、「なるほど、あの寒さじゃ、一晩外だと死んじゃうな。」と思えない。

まあ、ヒューマンを押し付けるような結末ではないところは良かったけれど、
全体的に、惜しい〜作品だったように思えました。
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