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はちどりのnamのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.1
「14歳の少女視点で描く、1994年の韓国社会。韓国版レディバード」

海外の映画賞での評判の良さや、韓国の映画賞では「パラサイト」を抑えての脚本賞を受賞した本作。

韓国では珍しく女性監督のキム・ボラさんの初の長編作品で、監督の14歳当時の分身とも言える主人公のウニ(パク・ジフ)の目線で自らの日常を描いていて、韓国版のレディーバードといった印象です。
ただ本作のテイストは静かで美しい印象が際立ちます。

本作はストーリーがある訳でなく、当時の監督の日常や思い出のアルバムを振り返るかのように断片的に日常の切り取りが積み重なる構成です。

友達とふざけあったり、彼氏とイチャついたり、後輩に好かれたりが描かれます。
そんな中で両親含め向き合ってくれない大人達への孤独を感じる中で唯一、自分と向き合ってくれる塾の先生(キム・セビョク)が優しく、そのセリフの一つ一つが監督のメッセージ性を内包しており印象的です。

日常を描いているだけなのですが、その背景にたしかに存在している当時の韓国の社会の特徴でもある家父長制の男尊女卑や学歴至上主義などの価値観を感じる構成が見事です。

またそんな14歳の孤独で多感な時期を演じているユニ役のパク・ジフさんが実に美しい。決して派手な顔立ちでなく素朴で純真さもある美しさは観ているだけで幸せな気分になりました。

きっと今後は韓国でも女優さんとして活躍していくのでしょうが、この14歳の少女の時代の美しさを観れるのは今だけなのでぜひ観て欲しい。

韓国に住む方や女性である方がより共感度は高いと思いますが、ユニが抱いた感情などは普遍的に誰しもが共感できるように描かれています。監督も自分の経験をベースにはしているが自伝映画ではなく、あえて普遍性を持たせるためにキャラクターとの距離を取ったとも語っていたので、そのバランス感も実に素晴らしかったです。

韓国映画では女性監督が珍しい印象というのも監督の男尊女卑の社会の結果を反映してるのかと思いますし、これからの作品ととても楽しみです!