Dumbo

はちどりのDumboのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.0
TLでもたくさんの方がご覧になってたし、
勧めていただいたので鑑賞しました。

実は韓国映画は少し苦手だったので、
どうかなぁと思いながらでしたが、
この作品は私の好みに合いました。

ただ静かで、
盛り上がるところも特に無い、
一人の少女の成長物語なので、
人を選ぶ作品だとは思います。
共感できない方には
全くおもしろくないかもしれません。

この日も、
『カセットテープ・ダイアリーズ』と同じ、
びわ湖のすぐそば、
レイクビューで、
スタッフさんの手書きPOPを読むのが楽しみな
滋賀の映画館で観たので、
(毎回映画館の宣伝します💦)
観終わった後にその手作りのPOPを
見ていたら、
この作品、キム・ボラという女性監督の
デビュー作だそうです。
デビュー作でこのクオリティって
すごい才能ですね!
これもPOP情報ですが、
この作品は監督がコロンビア大学時代に見た
中学時代の夢が
もとになって作られたとか。

私もこの歳になってもいまだに
中学時代の夢を見るのですが…
いつも同じ夢で、
遅刻しそうなのに、脚が動かなくて
なかなか歩けないという悪夢で目が覚めます💦

私の中学時代は金八先生の少し後、
まだ校内暴力で荒れていた時代。
その中で、ただ真面目に校則を守り、
勉強もする普通の地味な生徒でしたが、
ウニと同じように、
先生なんてみんな嫌いだったし、
大人もみんな嫌いだった。
学校という世界も嫌いだった。

ただ、
先生に反抗する気力も、
学校に行かない勇気もなかった。
ウニのように、
ちょっと悪いことをする勇気もなかった。
些細なことで友達が離れていく恐怖や、
受験や未来に対する漠然とした不安…
それでも学校という残酷な世界が、
自分の生活のすべてだと思っていた中学時代。
子どもの頃に
戻りたいと思う人もいるかもしれませんが、
私は絶対に戻りたくない…

そんな昔の事を思い出しながら観ていたので、
思春期真っ只中の中2のウニに、
共感せずにはいられませんでした。

共感し過ぎて、観ている間ずっと辛かった。
辛かったけど、
悲しさや辛さとは違う、
心が洗われるような涙を流すことができて、
スッキリした気持ちになれた。
こういうのをきっと、
カタルシスっていうのかな…

ヨンジ先生に出会えたことで、
ウニの世界が変わったこと、
その救いがあってよかった。

「どんなに辛い時でも、指は動かせる」
これはこれから、
何かあって辛い時に思い出そう。

「私の人生も いつか輝くでしょうか」
その答えを、
「世界は不思議で美しい…」
その理由を、
ヨンジ先生に教えてもらいたかった。
ウニも。
私も。

はちどりは、
ただ小さくて弱い鳥ではない。
目に見えない速さで、
1秒に80回も羽を羽ばたかせる。
ウニもその小さな体で、繊細な心で、
この生き辛い世界に
懸命に羽ばたいていくのだろう。

「蜜を求めて長く飛び続けるというはちどりは、希望、愛、生命力の象徴とされる。 その姿が主人公のウニと似ていると思った」
監督の言葉です。

これはキム・ボラ監督が、
自身の子どもの頃の思いをウニに重ね、
その時会いたかった大人、
自分がなりたい大人を
ヨンジ先生に重ねて描いた、
繊細で美しい物語です。
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