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8番目の男のoden8のレビュー・感想・評価

8番目の男(2018年製作の映画)
4.1
"法は人を罰しないためにあるんですよね。"
by 簡単には決めない8番目

"あなたも適当に流せないタイプみたいね。"
by 裁判長

"誰かの人生を決めるのは、初めてなので…。" "初めてだから、きちんとやりたい。"
by 2番目のおばちゃん

テーマは"法"なので重たいけど。その重々しさを、些か和らげてくれるエンタメ仕様。だけど、エンタメには振り切らず。法の意味と人の持つ温もりをずっしりと感じさせてくれる。ハイブリッドリガールもの。

先日観た"十二人の怒れる男"と分野は似ているけど、趣きの系統が違う作品。
"十二人の…"は。視覚効果に頼らない、想像力を働かせる必要のある玄人向けの面白さ。シチュエーションを嗜む要素に見所を感じたけど。ただし、オッサンの群れに対する嫌悪感に苛まれ…僕は作品の魅力をあんまり愉しめなかったが。

それに対して。"8番目の男"は、とにかく分かりやすい。難しいテーマには、違いないのだけど。
凄く、僕に寄り添ってくれてた作品だったよね。おバカてぃんの僕でも、考える余地を与えてくれる作品だったのよん。
物語を構成するメンバーが、多岐に渡っていたのも好印象だったよね。いろんな立場の人の考え方が表現されてる方が、安心感があるのよん。

僕は、どちらかというと…"疑わしき罰しろ"派のタイプの人間だったけど…。それは、自分の感覚と経験でしか…他人を判断できなかったからであって。それが、自分を生き辛くしていたと…最近になって些か感じるのです。
人には誰にも、自分には得られない経験や価値観がある。
そう感じると…何が愚かなことか。それは"決めつける"ことだと思うのです。

起こった事象の真実。それの捉え方は、人によって様々であるのね。
どれだけ真実により近づけるか。それは、とても大切なことだと思うの。
その為には、"正しい"や"悪い"といった感情ではなく。事象を検証し、因果を想像し、それらを限りなく明白に近づけれる様に…知らないといけないのかなぁと。

裁判長と8番目の問答に。"法"の持つ役割と。"決断"を下すことの重責が込められているの。
決められない理由。そこには、解らないことがたくさんあるからで。それを蔑ろにしてはいけないんだと思うの。
知れば知る程に、ボクらは揺れるのもまた事実なんだけど。揺れることにも、大きな意味があると信じたいよね。
微動だにしない"決断"よりも、揺れたうえでの"決断"の方が…納得できる。ってだけなんだけど。

人の人生を左右する裁判。その一部を担う重責。その重さが、めっちゃ伝わってくる作品でしたわん。僕も一緒に考えちゃいましたもんね。

真実は知り得ない
だから われわれは迷う
迷うからこそ
"疑わしきは被告人の利益に"

"認めたくないのかも。自分の間違いを。"
by 8番目の男

"いざ。決めるとなると。怖いでしょう。刑期を減らせば気が楽に?"
"他人の人生を決める、重大な決断を下すのは。気が重いことです。しばらくは心に残るでしょう。人によっては、一生残るかもしれない。"
by 裁判長

Cast(役者·キャラ) 4.5
Story(物語) 4.5
Architecture(構成) 4
Picture(画) 4
Acoustic (音) 3.5
24-65
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