風変わりで好みだった。パレスチナ人のイスラエル国籍のキリスト教徒であるエリア・スレイマン監督自身が主演の作品。おとぼけ感が楽しい。小ネタのオンパレードで笑った笑った~。
ストーリーらしきものは、パレスチナに住んでいる監督が、映画の仕事でパリへ、ニューヨークへと渡って、再び故郷に戻ってくるだけの話で、ほとんど会話もない。パッチリ開いた目でカメラ目線で海外を観察し、故郷愛に目覚めていく。
パレスチナのあか抜けなさや、暴力的で無法地帯だが抜けているところ、合理的でないけれど、しきたりの美しさ、人情味のあるエピソードが楽しい。
対比して、洗練しているがやり過ぎ感あるパリ、パリの街にも戦車が通る。ニューヨークの効率優先で役割意識が強いこと、そして銃を護身に持つ人々等、なかなか皮肉が効いていた。
パレスチナの蛇の恩返しと、ラベル無しのワインのネタが好き。
故郷の良さは比べられない。
絶対的価値だもの。
監督の故郷愛に溢れていた。
これをパリの人が撮ったら、
ニューヨークの人が撮ったら、
それぞれの故郷愛を見つけられることだろう。
イスラム教徒の多いパレスチナでも強いお酒(アラック)が造られ飲まれていました。