おれは男だから、この映画の本当の部分って分かんないんだと思う。だけどこの映画を俺がここまで褒めるのは、とにかく「女の世界」への憧れを抱かせる舞台設定に惚れ惚れしたから。
この映画には男が出てこない。画面に映ることはあっても、この世界では存在しないことにされているような感じ。その閉ざされた空間が、男の俺からすると羨ましくて、美しくて。そこにある日常を、ひとつひとつの愛おしい所作を、その向こう側にある何かを、掴み取ろうとしながら羨望の眼差しで眺めてた。
カットがひとつひとつ衝撃的。マリアンヌとエロイーズの目が合うまでを撮った無言のワンカットでもう大興奮した。こんな風にシチュエーションを切り取れる人はいないよ。次はどんなカットが来るんだろうってずっとワクワクしながら待ってた。
あと裸の描き方が今まで観た映画で1番良かった。暖炉の前に座って暖まるシーンも、二人が愛し合うシーンも、飽くまで官能的には描かれていない。女性の身体を女性のものとして描いてたと思う。当たり前っちゃ当たり前なんだけどさ、こういう視点って映画に少ないと思うんだよ。
その他褒めたいところは幾らでもあるけど、全部書くのは俺の性格じゃないからこの辺で。