てつこてつ

レ・ミゼラブルのてつこてつのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
3.5
感想を一言で表すならば、まさに、ああ無情・・。

タイトルから、勝手にヴィクトル・ユーゴー原作でミュージカル化もされた、あまりにも有名な「レ・ミゼラブル」を現代に置き換えている内容かと思いきや、コゼットもエポニーヌもテナルディエ夫人のようなメインとなる女性キャラクターは誰一人登場しない、世界一の観光都市パリが抱える移民問題という街の裏の顔をリアルに毒々しく描き出す誠に暗いクライムストーリーで驚いた。

ジャケ写にあるようなトリコロールのフランス国旗を振りかざす歓喜や平和的なトーンなんてまるで無し。作品中、唯一、目に優しかったのは、子ライオンの愛らしい仕草だけという・・。

アフリカ系ギャング、アラブ系ギャング、時には対立し時には協力し合う一筋縄ではいかぬ彼らを諫める為には、警官側も違法捜査なんて当たり前、時には少年に対しても平気で暴力を振るう・・。そう、それくらい威勢を張っていないと、人種のるつぼと化したこの街の平和は維持できない現実がそこにある。

大人同士では、それぞれの思惑で駆け引きを繰り返しながらその場を収めるも、子供たちにとっては、そんな小ズルい大人の事情など通用するはずもなく、この作品で登場する主要キャラクターたちは、確かに皆が皆、Les Miserables =救われない惨めな人々・・。

子役も含め、出演している役者さんたちが、とても演じているとは思えないリアルな面構えをしているのがとても印象的。

エンディングシーンの後に一体どうなったのかが気になって仕方ない。
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