てつこてつ

哀れなるものたちのてつこてつのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
なるほど、「聖なる鹿殺し」の監督の作品ならば色々と納得。
作風や世界観は凄く好みだけど、作品自体はそこまで好きではないかな。

テリー・ギリアムが描くような世界観、映像美がふんだんに展開されるんだけど、やり過ぎ感、監督の“ここまで凝ってみました!”的な主張が鼻につく。そもそもこの物語のストーリー上、R18指定覚悟のアンダーヘア露出の必然性があったのか?と個人的には疑問が残る。

主演のエマ・ストーンはキャラクターには合ってるし演技も確かに見事だが、正直、圧倒されるほどのものでもなく、ぶっちゃけ身体を張ったからのオスカー受賞でしょと穿った見方をしてしまう。美術、衣装賞受賞は納得。

比較的序盤で明かされる事実だし、ウィリアム・デフォー演じるドクターの特殊メイクや館で飼われているペットを見ればすぐに察する事ができるのでネタバレにはならないと思うが、ヒロインの設定はズバリ、フランケンシュタイン。実際、誕生シーンなんかは、1935年製作のユニバーサル映画「フランケンシュタインの花嫁」へのオマージュを感じる。

マーク・ラファロ、コメディアン出身のラミー・ユセフの演技は素晴らしい。

ヒロインとマーク・ラファロ演じる弁護士が“駆け落ち”で巡る旅路をチャプターで区切る見せ方が好き。胎児の知能しか持たない成人女性の肉体を持つ女性がどんどん成長していくのだが、確か一日20個の言葉を習得する設定であった筈が終盤のパリの喧嘩の下りシーンの彼女返しの台詞なんかは、確かに難しい言葉こそ使っていないにせよ、あまりにも成熟した知性溢れる女性のそれ過ぎないかな?

旅路から戻った後の展開に、個人的にはもうひと捻り欲しかった。
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