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北の果ての小さな村でのknjmytnのレビュー・感想・評価

北の果ての小さな村で(2017年製作の映画)
3.8
登場人物はみんな本人の半ドキュメンタリー映画。
らくだの涙を思い出した。

なんでも手に入る便利な都市生活から人口80人の極北の村へ。
その動機は自分探しだったり、しがらみからの逃避だったり。

教えに来てあげた、という気持ちが透けている内には人にも土地にも馴染めず、わざわざ果てにまで来ているのにそれまでの都市の自分と何も変わらない。

固定概念やそれまでの自分自身が崩れていってようやく人との交流が生まれ、新しい自分が形成されていく様子が良かった。

もう一方でイヌイットの解決できない現実もかなり写されてた。

電気が引かれ、便利な家電や道具がかなり流入していた。
それらの維持や管理のためにはお金が必要になってくる。そうすると犬橇に乗って、釣りをし、動物を狩って生きていくというこれまでのシンプルな生活スタイルだけではお金が足りなくて、町にでなくてはならなくなる。

でも猟師として独り立ちするには子供の頃から常に狩猟に出ていなければならない。
町にでてはいけない。

この解決できない現実の厳しさが印象的。
10年後には真の意味での狩猟文化は完全に根絶やしになっているんだろうな。

それが進化なのか退化なのかはわからないけど、身勝手にただ寂しいなと思ってしまう。

無限のグラデーションの青と純白、岩肌の黒のコントラストが常に美しかったし、オーロラも素晴らしかった。
そしてその中に配置されてる小さいヒト。
極地の自然の美しさと壮大さは本当に筆舌に尽くしがたいなって思いました。
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