刑務所から出たばかりの男が警官を殺してしまい、自分にかけられた報奨金を妻子に残すため、娼婦のアイアイと逃亡する物語。
ディアオ・イーナン監督は、中国の汚さや底辺にいる人間をヒューマンドラマではなく、ノワールとして描こうとする姿勢に好感が持てます。
でも今回は逃亡劇ばかりで、あまりストーリーに起伏はありませんでした。
所詮チンピラの揉め事って感じで小さくまとまっています。
どんなに反社会的で腐った人間だろうとキャラに魅力があれば面白かったと思うのですが、主演の二人も脇役もあまりそうではなくて少し残念。
ただ大陸の地方都市(撮影地は武漢)特有の細やかな再現がとても良かったです。
瞬間的に映る小さな場面でも湿度や匂い、庶民の生活が感じられます。
光と影、ネオンカラーの演出は夜が大半なので映えるのですが、言ってしまえば粗が出にくいし、ちょっと冗長気味。
エンディング曲は劇中でも使われていた『ブンガワン・ソロ』のカバー。
私はこの曲が好きなのと(特に『花様年華』で使われている潘迪華が歌うバージョン)歌っている主演のフー・ゴーが男前で歌も上手いのでスコアは高めです。