カタパルトスープレックス

その手に触れるまでのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

その手に触れるまで(2019年製作の映画)
4.2
社会的な弱者を描くダルデンヌ兄弟監督作品。今回は移民を背景にした「狂信」がテーマ。

ヨーロッパで社会的な弱者を題材とするのであれば、移民は避けて通れない。これはアキ・カウリスマキ監督もそうですよね。そして、ヨーロッパで移民といえばイスラム圏が多い。

今回の主人公はイスラム過激主義に傾倒してしまった少年。ダルデンヌ兄弟監督は社会的な弱者を描くのですが、安易な共感を許さない。小さな赤ちゃんを売ってしまった父親が主人公の『ある子供』(2005年)なんかもそうでしたよね。共感はできないのだけれど、弱者がそうなってしまう社会的な背景がある。「なんで?」と考えることが重要。

前作は慣れないサスペンス仕立てでハズしてしまいましたが、本作では得意分野で本領発揮。