TaichiMurakami

シチリアーノ 裏切りの美学のTaichiMurakamiのレビュー・感想・評価

4.2
シチリアマフィアの全貌を初めて明らかにしたトンマーゾ・ブシェッタを描いたマフィア映画。

ヘロインの産地としてマフィアが暗躍していた1980年代、かつては名誉ある男として組織に忠誠を誓ってきたブシェッタが家族を失ったり、敵対するコルレオーネ派の非倫理的な暴走を目の当たりにしてマフィア掃討の指揮をとるファルコーネ判事に全容を明かし、マフィアの構成員300人あまりの逮捕に繋がったという話。

序盤の数々の殺害シーンのマフィアの恐ろしさが伝わったのち、中盤の裁判シーンで盛り上がりを見せる。 一方、かつてはマフィアに忠誠を誓いながらも家族を失う悲しみを経験したブシェッタの描き方や演技も魅力的だった。

1つ惜しいのは、最後の方がややダラダラ続いた感があること。それぞれのシーンに意味があったのかもしれないが、初見ではもっとすぐ終えてもまとまりが良かったのではないかと思った。 とはいえ、また観たら変わるかもしれないので、再度観られる機会を待ちたい。

ゴッドファーザーやグッドフェローズ、カジノなどマフィア映画の秀作は多いが、全てアメリカ映画であり、イタリア映画としてマフィア映画を観られたのはとても良い機会だった。

既に上映終了してたのに放送してくれた早稲田松竹(放送終了の映画を格安で放送するありがたい劇場)に感謝したい。