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スペシャルアクターズのTSのレビュー・感想・評価

スペシャルアクターズ(2019年製作の映画)
3.7
【ムスビルが全てを持っていく】78点
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監督:上田慎一郎
製作国:日本
ジャンル:コメディ
収録時間:109分
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2019年劇場鑑賞72本目。
『カメ止め!』の上田慎一郎監督の長編第二弾。やられた。この監督の作品となれば、騙されずに見るぞ!という気合が必然的に入ってしまいますが、それでもやられた。ある意味今作は禁じ手というか、どう警戒していても騙されるオチを備え持っているため呆気にとられてしまいます。ただし、やはりカメ止め!の次作となればハードルは死ぬほどあがります。カメ止めの次作ということで考えるとパワーダウンは否めないでしょうが、それでもこのスケールでよくここまで面白い内容に出来たなと感心してしまいます。

役者を目指す和人は何度もオーディションで芝居をするものの監督にダメ出しをされて不合格となる。彼は緊張すると失神してしまう持病を持っていたのだが。。

この和人を演じる大澤数人という俳優を果たしてどれだけの人が知っているのか。というか、今作に出てくる俳優は失礼ながら初見の方ばかり。それもそのはず、ほとんどが演技経験のない方ばかりだそうで、上田監督はあえてそれを狙って製作している模様。事実、カメ止めで名を挙げた俳優陣が、今作の出演を希望したにもかかわらず書類選考で落としたという話もあるくらいだから驚きです。低予算のせいなのか、あえてリアリティをだすためか、結果的にこれはプラスに働いていると思われます。

和人は弟の誘いで、スペシャルアクターズという、いわば何でも屋さんで頑張っていくのですが、ある日旅館を買収しようとする詐欺カルト集団と対峙することになります。このカルト集団、今作のハイライトです(爆笑) このカルト集団、ムスビルが出てこなかったら今作はただの凡作であったでしょう。もうこのムスビルが面白すぎる。教祖の多磨瑠様もかなり良い味がでていて、実際出てきたときに少しパーマをかけてるのを指摘されてた時は笑いがとまりませんでした笑 ポーズもカオスですし、クレしんの悪の集団にこんなノリの方々がいそうだなあとも思っていました。

今作はアホみたいにチープです。とてもカメ止め!という大ヒット作を出した監督の次作とは思えないほどのチープさ。ただ、この上田監督は低予算の中で人に驚きや映画愛を伝えるのがお得意なのかもしれません。人にも得意分野というのがあるので、大金があるからといって必ずしも上田監督が成功するとは限りません。

主人公の失神の頻度が多すぎて流石にイライラしましたが、不思議と最後まで見れた中々の良作でした。最後の最後でまた上田監督に騙されてしまって良い意味で悔しい思いをしましたね笑 賛否がわかれると思いますが、僕はとりあえずムスビルが面白すぎたので肯定的に今作を捉えておきたいと思います笑
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