マーベルの威を借りたB級映画。
と思ったけど、扱ってるテーマもろもろX-Menだなと思い至り納得。
物語:辛気臭すぎて面白くない。X-menに通底する暗いテーマ
映像:大自然で撮影してるのはわかるけど、それを台無しにする勢いのこんなCGだらけの暗い映像にDUNEのIMAX枠を取られたくない。
(マーベル大好きなのに何をいまさら)
監督とのミスマッチ感。
ヒューマンドラマを丁寧に描きすぎて、宇宙規模のダイナミックな物語との繋ぎ目に無理があり、興醒めする。
そもそもがスーパーヒーローのマーベル映画、ツッコミどころ多くてナンボ、勢いでごまかしてナンボのはずが勢いもなく、ダラッとする。
最終決戦あたりもなんでそこでウダウダ言うんだみたいなテンポの悪さ。
元々が1本映画にするには無理があるものを、貧乏くじ引かされたクロエジャオ。
ただ、これまでのマーベルブランディングで押し切れると踏んだプロデューサーの判断だろうし、作家性の強い監督を起用し作家性を尊重する姿勢は評価できる。
単にエターナルズがこの作風で独立したものと割り切るべきなのか。
スパイディ2までで成長させたマーベルの大木はもちろん揺るぎないので、シャンチーやエターナルズなどはどう評価されようが散りばめておくべき実験作(枝葉)なので、パッキー/ウィドウ/ロキ/ホークアイのドラマに挟み込むのは非常に妥当な製品戦略。
コケてもいいという前提の中で「好きにやらせよう」という白羽の矢がクロエジャオに行ったということなんだろう。だから「監督の作家性としての美しさ」と「マーベルとして上手く作用してない部分」の落差は激しい。
俳優陣で見れば、この中から10年後のスーパースターを生み出せるかどうか。
多様性を重視するのはいいけど、正直顔ぶれが地味すぎる。
主役の顔つきじゃなく、画が保たない。
ドラマ『ボーイズ』を観てるのかと。それこそドラマシリーズの方がよかっただろうなと。
キャラの多さと新規用語の多さはドラマの尺を使うべき。
キャラの個性の描き方はむしろかなり丁寧で説明しきってる。そこに時間が足りないとは感じないけど、そこまでしてもなお話が長いと感じるほど、要所要所のテンポは良くない。ゆっくり描きたい監督なのはわかる。
ギャグシーンも全体的にシュールすぎる。
M-1の決勝でシュール系のネタ観てる時と同じ気持ちで、マーベル映画にそのトーンは合ってない。もっとドッカンドッカン笑えるわかりやすすぎるボケでええねんぞと。
ボリウッドダンス1分はまさにそんな感じ。
エンドクレジットでそんなキャラ出すなら初めから出してくれ。2はガーディアンズ的なトーンで行くのか?急にポップなエンディング流して。それをやってくれよ1で。そこの「繋ぎとめ力」みたいな小賢しさは相変わらずうまい。
敵が終始、人外の獣だったのもよくなかった。
せめて能力吸収して人型になるなら、もう一人くらい吸収してしっかり人型になってほしかった。中途半端な弱さのままお茶濁して終わったので、まるでDCの悪夢を感じさせた(だから予告編であんまり出てきてなかったのよね)
そして最後セレスティアルズ普通に地球覗き込んでたけど、あんな物理的な存在なん?物理的に超巨大な宇宙生命体なん?
ハッピーエンドからのビターズエンドなのも良くなかったなぁ。そら連行されるよねとはなるけど、うーん。
音楽も仕事してなかったよね。なにも印象に残らない。そこに力回せないのは監督の力量不足でしょう。予算の大きい映画は画と音のボリュームを持たせられるのに、音に気が回ってない(あるいはその気遣いが繊細すぎる)のは低予算のやり方だよ。
大作を飛び越えて超大作をやらされたクロエジャオ監督はかわいそう。次に期待。