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プライベート・ライアンのたにたにのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.3
✨2024年57本目✨

冒頭のオマハビーチの上陸シーンが圧巻すぎて、ここだけでも観る価値あり。
特に音響がすごくて、飛び交う銃撃音や爆撃音、砂や塵はパラパラと飛び散り、痛みや死に直面して喚く男たちの声などが突き刺すように響いてくる。トムハンクスが爆撃で耳が遠くなる演出など、かなり細かく見応えがあります。この演出は劇中で3回ありますが、観客を主人公主観に巻き込むという形になっており面白いなと思いました。

また、彼の右手が震えるという描写も頻繁に差し込まれ、大尉(トムハンクス)の心理的負担を表現すると同時にそれを周りの仲間達も感じ取っているという設定もよく、途中仲間割れが起きた際に、身の上話(周りから賭け事にされている自身の過去について)を切り出し、その場を鎮めるリーダーとしての姿には感動さえ覚えました。見ず知らずのライアンという青年を連れ帰るという任務の目的は彼らの間ではずっと問われていたことです。大尉にとってこれを遂行する意義は、ライアンへの同情ではなく自身も戦地から愛する人の元へ誇りを持って帰るためであり、過去に置いてきた自分の夢や希望を再び取り戻すことなのではないでしょうか。

目的が失ってしまった部下に対して、いかに自身のありたい姿を語ることができるかは重要なことなのかもしれません。
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