黒い画集 ある遭難の作品情報・感想・評価

黒い画集 ある遭難1961年製作の映画)

製作国:

上映時間:87分

ジャンル:

3.6

「黒い画集 ある遭難」に投稿された感想・評価

脚本は石井輝男で、彼らしさはあまり感じれないんだが、そこそこ楽しめるサスペンス映画になってる。
n0701

n0701の感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

三人は夏の鹿島槍ヶ岳に登山に出掛ける。
寝台列車に乗って、十分な睡眠を取り、休憩を繰り返しながら三人は山頂を目指す。

すると、急な悪天候により周りが一切見えなくなるくらいの霧が出て、もう一歩で山小屋というところで引き返すことになる。
それから来た道を戻っていた三人だったが、実は道は大きく外れ、元の道ではない別の山に足を踏み入れてしまったのだった。

そのまま突き進む三人は、やがて獣道に迷い込む。そのうちの一人は早くから疲労困憊し、山道は慣れたものであったはずなのに、その頃には虫の息であった。

リーダー格の男は、二人を残し、助けを求めに下山する。

しかし、肉体的にも精神的にも疲れ果てていた男は急に発狂し、服を脱ぎ捨てては走り出し、急斜面から落ちて死んでしまった。

彼らの山登りは一名死亡という惨憺たる結果を残し、終わったのであった。

しばらく後、リーダー格の男の元へ亡くなった男の姉が従兄弟の男と一緒に訪れる。そして、花向けをするため、もう一度山を一緒に登ってくれないかと持ちかける。

男は危険な冬の山道を、しかも友人が死んだ山道を登ることに渋りつつも、承諾する。

死んだ男の従兄弟の男は、少しずつ少しずつ山登りを誘った経緯を告げる。

そして、山頂に辿り着いた時、従兄弟の男はリーダー格の男が極めて計画的に殺人を犯したのではないかと告げる。

なるほど何度も休憩させ水分を取らさせ、誤った道を歩かせ、悪天候は予測できたはずなのに無視し、その結果、凍えさせたことは、殺したと言っても過言ではない。

だが、動機もなければ、疲労困憊していた理由も謎のままだ。それに何より、死んだ男は十二分に山登りには熟知していたはずである。

それが何故「殺人」と断言できるのか。

一笑に付したリーダー格の男だったが、山頂から下山するにあたり、今日中には戻らねばならぬからと急斜面を降りると申し出る。

それに従兄弟の男も一緒に付いてくることを承知する。

降り始めて少し経った後、リーダー格の男が死んだ男の従兄弟より少し早く岩壁を下り始め、さらに、彼に語りかける。

「動機は、あいつの妻との不倫です。」男の妻が5日間程外出した日、死んだ男と温泉旅行に出かけていたのであった。

そして、それを知っていることを行きの寝台電車の中でそれとなく告げたことで、死んだ男は眠れなくなったのだった。

それが疲労困憊の原因であった。

リーダー格の男は、犯罪の動機について語りかけている最中、死んだ男の足元の雪を削り、罠をしかけていた。

従兄弟の男は、彼の動機を聞きながら崩れた雪に足をかけ、踏み外したと同時に急斜面から落ちていった。数百メートルもの距離を叫びながら、叩きつけられ、落ちていった。

その姿を目にしながら、微笑して煙草に火をつけるリーダー格の男。

すると、彼の頭上から雪崩が起こり、彼もろとも全てを埋め尽くした。

彼らの死は全ての謎を解明させないまま、静かに終わりを告げたのであった。
松本清張原作。
三人の山岳パーティーが、夏場にある山に登山に行った。

ベテランのリーダー。
経験のある山好きの男。
初心者の若者。

そこで、遭難に会い山好きの男が亡くなった。

若者が、当時の状況を書いた手記が雑誌に掲載された時、山好き男の姉が遭難現場に献花したいとリーダーに申し出てきた。

リーダーは快諾し、姉は代わりに山のベテランの従兄弟を行かせる事に。

あの山に、冬の登山を二人で。

登山の道中、従兄弟はリーダーに色々話しかける。それは、だんだんリーダーの心中に・・。

私は、あんまり山の作品は観てないのですが、この作品は面白かったです。

遭難と言う形になったが、そこに計算された計画。それをリーダーに一つ一つ検証し、追いつめていく従兄弟。

衝撃のラスト。

ちなみに、出演者とBGMが「ウルトラQ」を感じました。
exryo1

exryo1の感想・評価

3.9
原作の短編も、最後の3ページに驚きの展開が待っていて、その結末にしばらく茫然だったけど、それが映像化されるとこういうことか、と。白く美しい雪景色が、終わったあとはどす黒く見える、そんな幕切れ…と思いきや、最後の香川京子のシーンは蛇足だったなぁ。全てが白い雪に覆われるまでで終わらせればよかったか、と。

あと前半の登山のシーンがちょっと退屈。もっともモノクロだからかも。カラーであれば美しい山の風景をより楽しめたかもしれない。前半は、ね。
くずみ

くずみの感想・評価

3.5
さあみんなでイヤな気持ちになろう。黒い画集シリーズ安定の後味。
疑り深い香川京子にそそのかされた従兄(土屋嘉男)が、ほぼ根拠ゼロで動機さえ分からないのに江田(伊藤久哉)を殺人者扱いするのが凄い。たまたま素人推理が当たったものの、土屋嘉男はホントに失礼でヤな奴にしか見えなかった。でも映画としてはそこが素晴らしい。彼の転落を望遠で長回しというか執拗に撮ったショットも最高!

サスペンスとか推理とかはどうでもよくて、身も蓋もない結末をダメ押しする「私が疑ったばっかりにまた人が死んじゃったわ……」という香川京子の最後の台詞にはカミナリが落ちたかのような衝撃、あっけらかんにも程があると震えてしまいました。

確かに前半の登山は寝落ちしそうなくらい退屈だけど、その繰り返しとなる後半がそれで活きてきたので我慢した甲斐がありました。傑作!
松本清張原作の山岳ミステリー。

銀行員の3人が鹿島槍で遭難し、そのうち1人が黒部渓谷で命を失う。

亡くなった岩瀬の姉真佐子はこの事故に疑問を持ち、登山家である従兄の植田を頼って真相解明を図る。

本当に事故死だったのか?弟は殺されたのではないか?

そのときのリーダーであった江田に依頼し現場に花束を捧げたいので植田を案内してほしいと頼むのだった。

事故の真相は一体!?

そもそも岩瀬くん、体調がそんなに悪かったら無理する必要はなかったんじゃないかな?という突っ込みはなしの方向でお願いします。

ラストは好きだが、登山のシーンが冗長として若干退屈に感じてしまった。
3104

3104の感想・評価

3.6
山で命を落とした1人の男。
その死を悲しみそして怪しむ彼の姉。
一緒に登った初心者が助かり、弟だけが死んだのは何故・・経験者のサポートがありながら・・。

松本清張原作のいわゆる「山岳ミステリ」。
現地ロケによる雄大な景色。そして(紅一点といってもいい香川京子をのぞき)どことなく地味な俳優陣。決して茶化しているのではなく、そのコントラストも今作の魅力だと思っている。
登山経験者・江田役に伊藤久哉。東宝映画やウルトラシリーズでの風貌を活かした悪役で知られるが、主演作は他に記憶がない。
江田より経験が浅い登山者で、途中で命を落とす岩瀬役に児玉清。どうしても後年のTV司会者のイメージが先に浮かんでしまう。その通り!

ストーリーは前半が登山シーンの回顧。ここで児玉の死までが描かれ、これに疑問を持った姉役の香川が伊藤を訪ねこう言う。弟の死んだ場所に連れていって欲しい、そして花を手向けたいと。
そして登山経験のない香川本人ではなく、元山岳部のいとこの土屋嘉男に代わりを託すことに。後半は嫌な予感を抱きながら香川の依頼を引き受けた伊藤と、土屋の2人での登山シーンが主となる。

この土屋ミステリアン嘉男の存在がいい。事故のあった時と同じルート、同じスケジュールで山を登り、そのつど冷静な口調で伊藤ダイヤモンド・キック久哉にそれとなく疑問をぶつけ、彼が企んだ「殺人計画」を暴き追い詰めていく。それに答える伊藤の口調と(徐々に嫌悪感を露わにしてゆく)表情もいい。

児玉を殺すに至った動機はとにかく、方法は~劇中で土屋が口にしている通り~“可能性の積み重ね”なので無理がある面は否めない。変わりやすい山の天気、人の感情や体調・・それらを計画通りコントロールするのはさすがに難しい。ミステリとしては弱く、そこを今作の決定的なマイナス点とみる人も少なくはないであろう。しかし綿密な脚本(書いたのは「直撃!地獄拳」「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」などの石井輝男。本人の監督作は奇天烈なものが多いのに、という意外な驚き)により展開される地味顔な役者のヒリヒリするような攻防を、そして演者もスタッフも大変だったであろう雄大なロケ撮影を観ることができただけでも、今作の存在価値は十分にあるのではないかと思っている。
児玉清さんが自著の中で、この作品の壮絶な撮影エピソードを語っておりこれは観なければ!と思い観賞。
3作公開された「黒い画集」シリーズの第2弾。
「寒流」「あるサラリーマンの証言」と観て、これで完走。

最近また清張作品の映像化が多いけれど、やっぱり作品発表時期とそれほど変わらない時代に製作されたものはその味わいが一味も二味も違う。

物語が始まっていきなり死体となって登場する児玉さん。
同行者3人のうち、1人は初心者だったのになぜ登山経験者であった弟が死ななければならなかったのか。
事故なのか、それとも?
香川京子さん演じる姉の心に生じた小さな疑問によって、その後思いもよらぬ結末を迎える…。

とにかく、実際に登山しながらの撮影であるため映し出される映像の本物の迫力が凄い。
児玉さんも、苦しい演技をしているのか本当に苦しいのか区別がつかないほどの状態だったと語る過酷さが画面からも伝わってくる。
疲労と恐怖がピークに達して狂死するシーンはトラウマになりそうなレベルで怖い。

ブツっと切れるようにあっさりと終わるラストの空虚な感じ。
どうやら結末が原作とは微妙に違っているみたいだから読まなきゃ。

2016.4.11 DVD
松本清張の短編集「黒い画集」から「遭難」を映画化したもの。「黒い画集」は「あるサラリーマンの証言」「遭難」「寒流」と、3本がシリーズで映画化されており、この作品はその2本目にあたる。

銀行の同僚仲間3人が、北アルプス槍ヶ岳で山岳事故に遭う。当初はたんじゅんな遭難だと思われたが、滑落死した岩瀬(児玉清)の妻・真佐子(香川京子)は、経験のある岩瀬が死亡し、初心者仲間が助かったことに小さな疑念を抱く...という話。

「社長シリーズ」「若大将シリーズ」で知られる東宝の職人監督・杉江敏男がめずらしくサスペンスものを撮った本作。

前半部分は遭難を再現するながれで少々退屈。しかし伏線がのちのち生きてくる。中盤からラストまではサスペンスが途切れない。登山という珍しい題材をうまくいかした佳作。
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