Stella

朝が来るのStellaのネタバレレビュー・内容・結末

朝が来る(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

14歳の少女が妊娠してしまった背景には、性教育の知識の乏しさ、両親の子どもにかける大きな期待や周りに取り繕う姿勢や圧力、大人のデリカシーの無さ、男性の弱さや身勝手さがあり、その末の家出、未成年者が一人で世の中で生きるのは苦労が伴う。嫌な大人がまとわりついてくる。その中で懸命に生きる彼女の事を誰が責められるのか。


「なかったことにしないで」

男性側や両親は彼女の妊娠をよく思っていない故に早く無かった事にしようとしてくる。でも自分の身体ですくすくと育っていくちびたんの存在は確かにここにあって、、切ないです。大人になってからなら祝福される出来事なのに…

一方、不妊治療の末に養子縁組で後ろ暗いところは全くなく、我が子を育てる女性。こちらにも長い背景があった。真面目な二人の夫婦には子どもができない。両親、義両親からの暗黙の孫催促、頑張っても結果が出ない不妊治療。でもそこに養子縁組という希望が差す。

そして、2人の人生が交錯する。

かたや、望まれない妊娠、かたや、強く望んでもおとずれない妊娠、その対比も素晴らしいし、少女の葛藤、人生の歯車はどんどんずれていき、止まらない。幸せであればそんな考えには至らなかったと思うのに、悲しい思考になっていく。これってどんな人にも起こりうると思う。ある程度の生活に対する安心や安全が保証されていれば、そんな風にはならないけど、もしそれを失ったら…?それでもあなたは真っ当に生きられると言い切れますか?と問いかけられているようだった。


結末ははっきりと描かれていないが、希望に満ちたものであるように示唆されている。誰か1人にでも手を取ってもらえたら、きっと彼女は踏みとどまれる。
Stella

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