【壁ではなく、橋を作ろう】
原題は「Blinded by the Light」(光で目もくらみ)という、ブルース・スプリングスティーンのシングル曲が由来だとか。
イギリスで活躍する脚本家が自叙伝を自ら脚色し描いた映画。
伝説のミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンが主人公なのではなく、それに感銘を受けた青年が主人公というユニークな設定が面白い。
この手の映画は「こうしてみんなが知っているあの人が出来上がりました」みたいなオチに持っていきがち。
だけど本作の場合、主人公のモデルとなった原作者がどういう人物なのか正直まったく知らない(もしかしたらイギリスでは結構有名なのかもしれないけど)。
だからこそ、名もなき一人の青年の等身大の物語としてしっかり観ることができた。
練り込まれたセリフの数々は、劇中で流れるスプリングスティーンの歌詞とリンクするかのように作られているのだけど、なかなか字幕翻訳者泣かせの言い回しが多いなぁと思いながら観ていた。
音楽用語やニッチなミュージシャン、スラングなども多く登場するので、イメージをつかむために都度調べながら鑑賞してみるというのも個人的にはおすすめ。