arimasou16

Winnyのarimasou16のレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.0
金子勇氏ほどの天才でもないSierあがりのへっぽこですが、同じプログラマーとして見ずにはいられませんでした。

「日本の未来のためであれば有罪にしてくれても構いません」という発言、本当に言ったのか?など、余りにも聖人に描かれるので、本当かなぁ?と思いつつも、珍しく感傷的になってしまいました。

Winny、P2P技術がどうこうという話も最小限で、私にはプログラミング、IT技術に詳しくなくても話を理解するには、全く問題無いように見えました。しかし、映画としては地味で山も谷もなく人によっては退屈かも知れません。実際、隣の隣の酷いはイビキかいて寝てました。

それでも法定尋問はどうあるべきか、誓約書と陳述書?の違い、愛媛県警とWinny事件の関連は知らなかったので、最後まで集中して楽しませてもらいました。

主演が東出昌大というのが、見に行く前日まで知らなかったのですが、私には彼の代表作になり得る素晴らしい演技だったと思います。東出昌大の起用含め、他、失礼ながらほとんど見たことのない俳優さんばかりでした(吉田羊は相変わらずキレイだな、と思いましたが
)。

この映画の注目度、予算などによるものなのか、たまたま選んだ結果そうなのか分かりませんが、出演者全てに感謝を言いたいです。そして、もっと注目されてほしい映画です。

Coinhive事件、Javascriptアラートループ事件と、製作者どころかコードを組み込んだだけ、リンクを貼っただけで逮捕される事件が、その後も起きてます。こうした背景は、裁判官、警察の不勉強もあると思いますが、政治家やジャーナリストの不勉強さも一因だと思います。

30代にしてWinnyを作った天才のプログラマー人生を壊した日本という国。何か犯罪が起きると、悪用した人間だけでなく、それを提供した道具、技術、プラットフォームを叩く側面あるなぁと我ながら反省すべきだなとも思いました。

多分に思い込みが入り過ぎてしまっている部分がありますが、スタッフロールでの本人の言葉など聞いていて、胸にグッと来ました。金子勇氏が日本の未来を託してくれましたが、私達はその思いに応えているだろうか?短絡的な日本は○○と比べてーという比較論、否定論とかではなく、日本がより良く住みやすい社会になっていくためのヒントをこの映画は与えてくれた気がします。
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