シミステツ

Winnyのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

Winny(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

「Winnyはまさに未来を先取りした技術や。いつか世界を変えるような」

ファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇が著作権法違反ほう助で不当逮捕され、弁護士の壇と共に権力やメディアと闘う、真実を元にした物語。
出る杭は打たれる、出過ぎた杭は国家に潰される。そうして失われた日本の7年。規制による技術革新をリードする未来の喪失。幼き頃マイコンで作った星の煌めき。失われた星の輝き。

当時Winnyが流行ったのも覚えているし、まだ当時は中学生で使ってはなかったけど、違法コピーが蔓延して、特に音楽なんかはTSUTAYAに行ってCDに焼いて聞くという煩雑な作業が一気に楽になるみたいなところは違法ながらも画期的ではあった記憶がある。

Winnyには続きがあって、著作権をクリアした運用のビジョンも考えていて、その道半ばという時に…。

技術自体に罪はないという台詞はまさにそうで、「みんながやっているから」「組織のため」という警察官の領収書の話は日本人的な思想悪の象徴でもある。

誓約書や自白調書に簡単に署名するなよ!っていう、天才プログラマーでありながら法的リスクマネジメント甘々でこれどこまで本当なのか…という突っ込みどころが気になった。

秋田弁護士の強さが見どころのひとつ。逮捕までの動きが性急すぎる、警察の裏の意図を読むべきだという指摘が的確。開発行為そのものが違法なのか?明らかにしない態度はなぜか釈明を求めるという。嘘をついている人間に嘘をついていると言わせる尋問。「蔓延」「満えん」。裏金問題など警察の隠蔽が絡む。国家の、メディアの正義とは何か。絶望の中で仙波のような人間がいたことが救い、明るい未来として描かれていたのはよかった。

「Winnyは私の表現なんです」