次郎

ローリング・サンダー・レヴュー マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説の次郎のレビュー・感想・評価

4.5
「ディランの全盛期は75年のローリング・サンダー・レヴュー」と教えられ今も信じている身としては、マーティン・スコセッシ監督による当ツアーのドキュメンタリーが制作されているなんて福音のようなもの。Netflixありがとう。

本ツアーの意義や背景についても色々と語られているけど、例によってディラン本人の発言なんて何一つ信頼に置けないものだから小耳に挟むぐらいで良し。何より、本ツアーにおけるディランのライブパフォーマンスの数々が破格なまでに素晴らしい。1曲目の「Isis」からギターを手放し、観客とメンバーを舐めつけながら歌う白マスクなディランの表情からもう、完璧。これまではディランの優れた点として言葉と響き、演奏による三位一体にあると思っていたけど、本作を観た後ではパフォーマンスもその中に加えなければと痛感した次第で。

あと驚かさせられたのは、ディランがとにかくべらぼうにオシャレさんだってこと。ハットに添えられてる花々に加え、シャツに合わせたベストやスカーフの色使い、白塗りメイクにはしっかりアイラインも加えられている。現在のインタビューでも首筋のブローチが添えられていたり、服装センスにおいても非凡であることを知れたのは新しい発見だった。

それにしても音楽家に憧れる禿げもじゃおじさん、アレン・ギンズバーグさんちょっとキュート過ぎやしませんか。
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