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ワイルド・ローズのbluetokyoのレビュー・感想・評価

ワイルド・ローズ(2018年製作の映画)
3.6
天性の天才的な歌唱力を持つローズのセクサスストーリーかと思いきや、そうでもない。いちおうセクサスではあるけど、それをどう見るか。賛否が分かれると思う。それよりも、ローズのダメママぶりが際立っていて面白い。もちろん、歌手としての才能があるという自覚が十分にあるので、どっかのレコード会社の目にとまれば、あっという間にスターになって、レコーディングにコンサートに大忙し、口座には大量の入金があって、たちまちのうちに富裕層の仲間入りである、子どもの面倒なんて見ていられるか、お母さん、よろしく、という勢いで生きているので、むしろ、天才的歌唱力は、ダメママを助長させているわけだ。

ただ、結局、そうなるわけではないので、むしろ、天才的歌唱力という設定は、なくてもよかったのでは、と思えてくる。ダメママだけでも、映画としては成立していたと思う。

冒頭、ムショからシャバに出てきたローズは、大喜びで、専属歌手をやっていたクラブへ。だが、前科者だし、暴れおんななので、ダメだといわれ、大暴れ、出禁になってしまう。

また、やってしもた、とローズは反省、掃除係へ。勤め先は、富裕層の屋敷。あーあ、掃除なんて、やってられないわ、と不貞腐れるが、屋敷の女主人、スザンナに歌声を認められ、パーティーを開いて、資金を集めてみれば、と勧められる。

やった、チャンス到来、スターへの切符を手に入れたわ、と大喜びのローズ。

ところが、屋敷の主人から、きみの素性は調べさせてもらった。きみは、ムショ帰りだそうじゃないか。パーティーをやって稼ぐのは許可するが、今後いっさい、わたしの家族に近付かないでくれ、と言われてしまった。
ローズは、がっくりして、パーティーへの出演はやめた。

あまりのがっかりぶりに、母親のマリオンは、貯めていたおカネをローズへ。これで、ナッシュビルに行ってみなさい。

ローズは、大喜びでナッシュビルへ。ところが、自分と同じくらいの歌手はゴロゴロしていることを知る。

踏ん切りのついたローズは、故郷に戻り、真面目に働いて、いいおかあさんを目指す。

たしかに、歌が上手いだけというのもなあ。普通の人がスターになるのは、100憶分の1の確率だとしたら、それが、1万分の1ぐらいになるぐらいか。作曲ができたり、バンドを組んでいたり、最近だと、どっかのプロダクションに所属していて、厳しい訓練を積んでいるとか。

成れる見込みのないスターへの道へまい進するあまり、人生を棒に振るよりも、ちゃんと現実を見詰めて人生を歩め、ということか。

それでも、邁進してしまうヤツの中で奇跡的にスターになるヤツがいて、すごいすごいとおだてられるわけかな。それで、また、勘違いが出てくるのだ。
ローズは、地元で歌の上手い人、で終わるのだろうけど、それでよかったんだろうね。
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