ワイルド・ローズの作品情報・感想・評価

上映館(21館)

「ワイルド・ローズ」に投稿された感想・評価

Vegi

Vegiの感想・評価

5.0
異国の音楽に憧れる間抜けさ、恥ずかしさ、心許なさ、最後に自分の出自と現状を受け入れて自分の歌を手に入れる構成。サイタマノラッパーを思い起こした。

それから、母親が「自分で夢を追うより子どもに託した方が楽だった」と告白するシーンがとてもよかった。

そのシーンで、母親とローズの会話のカメラの切り返しに違和感があった。

ローズ側のカメラアングルが2つあるのだが、一番大切な上記のセリフの切り返しのアングルが上手を大きく開ける構図になっていて、ローズの顔が下手にあり、母親と目を合わせて話しているように見えないのだ。

母と娘がようやく和解するシーンで、2ショットもないので、ここだけほんとにもったいないと思った。
FUJI

FUJIの感想・評価

4.0
歌手を目指す人がスターになるまでを描くようなよくある音楽映画とは一味違いました。
音楽よりも、人間関係や女性の生き方にスポットが当たっていたと思います。

ご都合主義な感じで進んでいくけど、とにかく主人公ローズのインパクトというかやんちゃでワイルドなそのキャラクターが凄くて面白い。
でもね、その行動を見てると、子どもを産むべきではない人っているんだな…ってちょっと思っちゃうんですよね。親になるべきではないと。
それが、だんだんと応援したくなっちゃうんですよこれが。歌って凄いな。
そして、やっぱ家族愛って素晴らしいなと感動しちゃいます。

ラストも良かったです。
すごく良い感じで話は進んでいったんですけど、少し後半は雑に感じました
林陽子

林陽子の感想・評価

4.0
確かにワイルドだった。
歌声も行動も。
ラストは泣けたわ。

3コードの真実、自分のメッセージを込めた歌、それが彼女を成功へと手招きしてる。
これからの未来がありそうな終わり方だった。
でも、周りの助けと理解があってこその道だと思う。

ジョニー・キャッシュの名前が出てきたので「ウォーク・ザ ・ライン」を思い出しながら観たわ。
アウト・ローから成り上がる
シンデレラ・ストーリーというより
その前日譚の様な物語

少し期待していた展開とは違い
ハマりきれなかったが、
主演のジェシー・バックレイの
歌声は素晴らしかった。
ごう

ごうの感想・評価

4.3
歌手として、人として捨てられない夢
母親として守らなきゃいけないもの
人間のジレンマがよく描かれていて
そのジレンマが大事なんだと気づかされる作品
自分が伝えたいことはなんなのかな?

音楽がものすごくよくて、カントリーハマってます
『ハーツ・ビート・ラウド』とか『Once』みたいな、オリジナル曲ありきの映画、ジェシー・バックレイという女優の歌唱力勝負(これ日本だったら高畑充希とかにあたるんだろうか)の映画という面もありつつ、カントリーミュージックが夢や憧れ、帰属意識のシンボル的に機能していて面白かった。

主人公ローズがお勤めを終えて出所してくるところから始まるけど、いきなり”Country Girl”で上がってしまう。あ、これ終わりでもう一回流されたら泣いてしまうな〜とか思って観てると、男のところ先に行ってから子どもに会いに行ってる?!映画に引き込みつつ、ローズの人間性までスマートに伝えてくる。この冒頭の数分がすごく鮮やかで笑えた。

「他のところが全部ダメダメだけど、ステージの上でだけ輝ける」みたいなスター像って魅力的だけど、実際周りで巻き込まれる人からしたらたまったもんじゃない。『ボヘミアンラプソディ』みたいにスターとしての生き方と母親としての生き方の両立に苦しむ、みたいなことでもなければ、『ハーツビートラウド』みたいに急激にスターになっていくことに耐えられないみたいなことでもなくて、現状何も成し遂げていない状態にあるダメなやつの話というところが新鮮。ポスターとか予告編とかから、華やかにスター街道を駆け上がっていく中で困難にも出会う…みたいなイメージを持っていただけに、ほとんどずーっとダメなまんまでローズの心持ちだけが浮いたり沈んだりしているのが意外だった。目を離すとサボるし、すぐ嘘つくし、子どもとの約束破るし、口も悪いし乱暴なローズ。超絶歌が上手いという一点を除けば、近くにこんな人いるんじゃないか、自分もローズっぽいところあるんじゃないかと思えてしまう。電車で上着と荷物なくしちゃうところとか、気持ちわかりすぎてしんどい。

グラスゴーの出身でありながら「私は本当はアメリカ人で、メンフィスに『帰らないといけない』」という言い分は荒唐無稽にも思える。”Take me home...”と歌うけどあなた生まれた街から出たことないじゃん、みたいな。でもまるっきりウソと言い切るのはなんだか違う気がする。現実以上に「スリーコードの真実」が勝ってしまっている。メールを送って見つけてもらおうとかいうこともなく、ただ街の酒場で歌っていれば良いという考え方もなんだか面白い。「ジョニーキャッシュだって犯罪者だ!」という物言いにも現れているように、ローズは自分自身の「現実」を生きていない。だから、夢を諦めるとか現実を見るとかいう話ではなく「現実」の捉え直しの物語になっている。

単純にカントリーシンガーとして大成する物語ならアメリカが舞台でも良いし、もしくは渡米してメンフィスのおじさんから「ツテがある」と言われた時にそれを受けても良いわけです。なぜ母親に夢と金を託されて、子どもを再び置き去りにしてまで渡ったメンフィスをローズは去るのか。「スリーコードの真実」がそこにないとわかったからでしょう。自分はアメリカ人にはなれないし、ウェストヴァージニアやメンフィスが帰る場所ではないと思ったからグラスゴーに帰る。これは「メンフィスの人間じゃないのにメンフィスの歌を歌うのがリアルじゃない」みたいな話ではなくて、心の持ちようの話。帰る場所がどこであるかは忘れたらダメ、憧れの存在と自分の間にはきちんと線を引いておくべきだという話。ローリングストーンズが、チャックベリーやマディウォーターズを通してアメリカや黒人に対して抱いた憧れやコンプレックスもこうやって収斂していったんじゃないかと勝手に思った。

そういう精算をしないまま(もちろん他にもウソはあったけど)にクラウドファンディングでのし上がっていくわけにはいかないから、きちんとパーティはご破算にならないといけなかった。カタルシスを犠牲にしてでも、ストーリーを失速させてでも入れないといけなかったのはわかる。でもそこは残念ポイントでもあったかな。スザンナとの和解が解決しないといけないポイントとして増えてしまったはずなのに、「一年後…」で片付けるのはどうなのか。子どもとの関係修復も割とあっさりだったのが気になる。設定として子どもいらなかったんじゃないかなと思わなくもない。お母さんとの確執解消だけが軸でもよかったはず。とはいえ、自分も貧しい生まれでありながら、ローズの過去を掘り返して嫌がらせするスザンナの夫のように出自を否定する人もいれば、黒人ではあるけどカントリーミュージックに感動できるスザンナもいるという対比も素晴らしかった。「黒人なのにカントリー聴くなんておかしい」「英語わかんないのに洋楽聴いてるのはかっこつけだ」的なものの見方に対するアンサーとして、「メンフィスに行くけどやっぱり帰る」という展開は素敵だなと思う。

あとはこのキャンセルカルチャーの時代にローズがのし上がるのは、ラッパーとして以外は難しいんじゃねえかなと思わされる部分もあった。というかトランスジェンダー云々を失言とされたらラッパーでも無理か。そうした意味でこの映画、いかにクズであろうと才能さえあればスターになれた時代に対する「望郷」でもあるのかもしれない。グラスゴーでもメンフィスでも東京でも出発点はどこであれ、ローカルを超えて成功したいという目標を前科のある人が達するのは難しい、というのが現実だろうし。先に成功して後からバレるなら兼近みたいにダメージなしでいけるかもしれないけど。

いろいろ惜しい部分はあるけど、カントリー(カントリー&ウェスタンではない)に託された種々のイメージと、たるんだ体で歌いまくり、口角を片方だけ上げて笑うジェシーバックレイの歌声を味わうだけでも楽しめるかなと思いました。やりたいことはわかるし面白いけど、映画としてそんなに面白いかと言われるとスコアが伸びませんでした。
Joe

Joeの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

俳優は色々な職業を演じるけれど、名人と呼ばれた落語家や漫才師などの芸人を演じきった人は見たことはないし、一瞬で心を鷲掴みにするミュージシャンを演じた俳優も見たことがない。エンターテイメントを極めるということは、神様に認められた人だけが許されること。それを再現するなんて無理に決まっている。今は簡単にホンモノが見られる時代。わざわざニセモノを見る必要はない。

ジェシー・バックレイが演じる売れないミュージシャンは、映画「ライトスタッフ」のチャック・イエガーのように一瞬だけ空を突き抜けた。そのまま月まで行ったのか、重力に負けて地面に叩き付けられたのかは誰にも分からないが、皆、この瞬間が観たくて来ている。ミュージシャンを主役にした映画の王道はちゃんと守っていて、ジェシー自身の立ち位置と重なる部分が多いため、あまり違和感はない。

そして、このような役を演じる俳優はミュージカル出身者が多く、あのミュージカル独特の歌唱法がロック(今回はカントリーだけど)には相容れないものがあって幻滅する事が多い。クイーンを歌うアダム・ランバートやエルトンジョンを歌うタロン・エガートンなんかも、どうしても我慢できない。でも、このジェシーは根っからのカントリーシンガーって感じで、ジャニスの気配も感じられて嬉しくなってしまう。あのエンディングだけで十分。他は何もいらない。
touch

touchの感想・評価

3.6
"カントリーガール それでも生きていかなくちゃ"
* * *
アガるオープニングで一気に引き込まれ、ジェシー・バックレーのソウルフルな歌唱に圧倒される。
「さあ人生の再出発!」という好機のたびに躓いてしまう彼女の人生の立ち行かなさ。
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子どもたちが夢への足枷としてしか機能していない点に疑問は残るが、ダメ親映画好きとしてはたまらなく愛おしい一本。
中盤までパーフェクト。あの酒場での復活ライブシーンなんてたまらんかった。
元犯罪者の掃除婦シングルマザーがカントリーシンガーの夢を追う姿を描く。まったくうまく行かない子育て、母との関係、共に夢を見て手を差し伸べてくれる雇い主……。
前半はすべてのシーンが完璧で何度も泣きそうになる。

片方の口角を上げたあの生意気な表情とはすっぱな声、魂の叫びの歌声でビッチ感と複雑な感情をを演じきったジェシー・バックリーが圧巻。

なのに終盤失速。
人生の本当に大切なことを見つめ直し……の展開はよいが、「あれから1年後」で全部処理。スザンナとのあれもBBCの顛末も回収なし。

ほんとに好きな作品だけに、制作途中でなんかあったのではと思うような後半の展開だったなあ。
あれを余韻として取るかどうかで評価分かれるのかもだが、もったいない。
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