スティーブ

犬王のスティーブのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
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室町時代、平家の呪いによって失明した琵琶法師と、猿楽の家に生まれた鬼子が手を組み、前衛的な舞台を繰り広げる話。

という概略で何一つ説明し切れていないのだけど、ざっくり言ってしまえば、「化け物を殺すのではなく、舞台で舞って霊を鎮めることで、失われた身体を取り戻していく『どろろ』」というイメージ。相変わらずの湯浅節演出と、主演二人の快演(歌唱含めて)が光っている。まあ楽曲に関しては、「まんまQUEENじゃねーか」というところはあって、それを室町時代でやってるんだからそりゃウケるよな、という説得力はあるんだけど、この点はいささかずるい気も(笑)。あんまりわかりやすいとは言えない、見終わったあとに「おもしれー!」って話でもないんだけど、ともすれば取っ散らかりそうなストーリーをきっちりまとめ上げてあるのはお見事だった。

追記 犬王が実在の能楽師と知ってびっくり。なるほど、それでこういう企画が立ったのね。