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クイーン&スリムのkyokoのレビュー・感想・評価

クイーン&スリム(2019年製作の映画)
3.8
出会い系アプリからの初デートの夜が一転、いちゃもんをつけてきた警官(当然白人)を誤って殺してしまった黒人男女の果てのない逃亡劇。

気が強くて神経質なクイーンに対して、スリムはあまり頓着しない温厚な性格で、初めて会ったダイニングでの会話からしてちぐはぐだったし、最初は何かとかみ合わない。そんなふたりが徐々に心を通わせ、生きる喜びを見出していくロードムービーは、人種差別に対する啓発ももちろんあるけれど、圧倒的にロマンスの物語だった。

ふたりが迎えた顛末はまったくもって予想を覆さず、なんならベタすぎて、かえって泣けなかった。
「あの時おとなしくいうことを聞いていればこんなことにはならなかったのに」と、つい、そんなことを思ってしまいそうになるけれど、それでは何も変えることはできない。現状への抵抗ゆえのストーリーだったのだろうと思う。でもだからこそ、繰り返される悲劇に希望の光をもたらすような、なにか別の展開が見たかったな。
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