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離愁のkyokoのレビュー・感想・評価

離愁(1973年製作の映画)
3.7
ドイツの侵攻から逃れるための疎開列車。極限状態でのなか、出会ってしまった相手がひっつめ髪でも美しいロミー様なのだから恋に落ちるのは致し方ないのだけど。
男には臨月の妻と幼い娘がいるんだよねえ。それゆえ私の気持ちはずっと「え?いいの?」だった。
観る者がみな絶賛する有名なラストシーンにいたっては切ないどころか怒りの「おのれ血迷ったか!」

3年後を語るモノローグも含めて、私の印象は「今までもこれからもいちばんかわいそうなのは奥さん」ということに尽きる。

併走する車から陽気に投げキッスのあとお花摘みしながら爆死した女たち、歌い騒ぎ抱き合い死んだ者たち。この恋もまた戦争の昏い影と対をなした束の間の輝き。
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