実際にあった事件から着想を得たという。
冒頭からその町の「民度の低さ」は明確で、生涯モラトリアムとばかりに怠惰な日々を送る若者たちがたまり場のケバブ屋で毎度繰り広げる侮蔑と嘲笑に、心底うんざりしてしまった。軽蔑を含んだ部外者のような気持ちで眺めながらも、曖昧な笑みを浮かべたまま諫めることもできない兄の心の弱さにヒトラーに加担したポーランド人の「卑怯さ」を思わせ、排他的な偏狭さに満ちた故郷を自分の居場所として否定することもできずに執着しているようにも見える姿にはマイノリティとしての孤独がチラ見えてなんとも複雑な気持ちを抱かせる。
小さな町で起きた悲劇のあとに流れたショパンは、世界に向けたレクイエムのよう。
ウクライナから避難してきた人たちに対して惜しみなく手助けしたのもまた同じポーランド人。「パンと塩」を供することができる人たち、よね。
彼らは本当の兄弟だそうで。