TaichiShiraishi

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェストのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりの鑑賞にして初の劇場鑑賞。最高!カッコいい!痺れる!右脳からヨダレダラダラ!なんて美しい映画なんだ。これ以上様式美を極めた映画はないだろう。全編キメキメ。

冒頭のおっさん3人が駅にやってくるというシーンだけでこんなに引っ張れる映画が他にあっただろうか。あれで10分くらい引っ張るし。ハエがブンブン飛ぶのを延々見せて耐えられる絵作りが素晴らしい。あとあの黒人ガンマンの顔面が秀逸やで。あいつのドヤ顔だけでずっと見ていられる。黒人ガンマンが当時普通にいたという史実もサラっと見せているあたり、普通の西部劇と違うぜさすがレオーネ。そしてキイキイなる風車や水の垂れる音まですべてが芸術。劇場で聞くと良くわかる。

しばらくして世にも珍しい髭なしブロンソンが登場。髭ないと可愛いな。

そしてあの有名な

馬が一頭足りない、いや2頭余る

からの突発的な銃撃戦も痺れるし、その前にはキメキメでハーモニカの音色響かせたりと外連味満載で最高!

その直後のアメリカの良心ヘンリー・フォンダ様が黒服に身を包んでガキを殺すという衝撃カットも中々のサスペンス演出。さいごにガキにとどめ刺しに行くときもあんな5人も寄っていく必要ないけどそこは様式美優先なのだ。

あのガンマンが5人歩いてくる絵が欲しいからそっち優先しちゃうレオーネ演出が僕は大好きです。
銃声から汽車の汽笛にスムーズにつながるカットもかっこいい。

そんで序盤からクライマックスみたいに鳴り響くモリコーネのスコア。BGMの天丼もレオーネの特徴。ただ続夕陽のガンマンほどじゃないけど(笑)。

ここでそんな大仰なBGMいるかってタイミングで流し込んでくる。

すべてが大仰で過剰で長ったらしいがずっと見ていられるのが名人芸なんだろうか。人物へのゆらーっとしたクロースアップとか要らないけど必要なんだよな。

セリフのキメキメ具合もかっこいい。特にジェイソン・ロバーズが渋すぎるぜ。
そして描かれるのはかつて存在した西部の滅びゆくアウトローたちの物語。フランクはモートンのように実業家になろうとしても無理、シャイアンはモートンをなめてかかっていたら最後は彼の抵抗が原因で汽車の到着と死亡、そしてハーモニカは復讐を果たすと汽車の到着と共に去っていく。

そして最後に新しい時代を作っていくのはニューオーリンズから来た娼婦のジル。カルディナーレさんマジでエロいっす。

この映画の主人公はジル?いや死後になお夢を叶えたマクベインだろうか。汽車そのものかな。あの汽車は明らかに新たな時代の象徴ですよね。

憧れのアメリカロケまでして撮った西部劇への思い入れ満載の個人的作品ながらも描くのは西部の滅びの瞬間。かつてのアメリカの象徴がヘンリー・フォンダ。

おそらく68年という時代ゆえもあったんだろうな。

クライマックスの決闘はもはやどちらも消えゆく運命の男の最後の輝き。
ブロンソンの笑みとヘンリー・フォンダのあまりの立ち姿の姿勢の美しさに見とれた(笑)。

あのくどい回想も最高や!

回想でハーモニカの兄貴吊るしてる変なアーチが元々何のためのものなのか全く分からないけど、そんなのはどうでもいい!

それから最後に鉄道建設してる男たちはどこからきたのか。あんなあっという間に路線が開通してしまうのか、色々疑問だが、でも西部の男たちの最後と汽車を重ねる必要があるんだからしょうがない!

そんな割り切った最高にかっこいい滅びの美学の西部劇。

ただひとつだけ文句を。

最後の「Once Upon a Time in the West」の文字が変なアニメーションで捻じれてフェードアウトしていくあの謎の演出はマジで要らないと思います(笑)。普通に文字フェードインフェードアウトかそのまま出しっぱなしでいいでしょ(笑)。

でも満点以外ありえない!朝8時50分からの鑑賞で眠かったけどそれでも見れてよかった。
TaichiShiraishi

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