こんなに熱い気持ちになるとは予想外の青春ドラマ。とにかく見て良かった。
事前の情報は高校演劇が元でグラウンドを見せない甲子園を舞台にしていること。
しょうがないと肩をたたかれて苦渋の表情を見せる生徒のアップからアルプススタンドへ。吹奏楽部の演奏が鳴り響くなか、主要登場人物の配置と説明が進んでいく。もちろんセリフはまだ少なくたたずまいや応援席への向かい方で事情が有りそうなのは伝わる見事な演出。そしてオープニングの生徒とその友達の野球を知らない通しのちょっとずれた会話が何とも可愛いらしい。更に暑苦しく応援を強要する先生や吹奏楽部のちょっと嫌みな三人など、なるほどこの人達が悪役的に入って会話劇による人間交錯が進んでいくのかと見ていると良い方向に予想を裏切ってくれました。
それぞれ事情があり、それを隠して遠慮する人、強がる人。眼鏡っ子宮下さんが倒れる所からドラマは徐々に広がり繋がっていく。
暑苦しいと感じていた厚木先生が熱く感じた瞬間から最初は冷めていた主要４人がそれぞれの貯めていた感情を応援で順番に吐き出していく流れのエモーションの高まりたるや！
泣いたわ！
この厚木先生も吹奏楽部も映画オリジナル要素だそうで、キャラクターの描きかたや役者さんの素晴らしさも最高。球場内での場面展開などで単調にならないよう工夫された構成と絵作りで安っぽさは微塵も感じられず。「しょうがない」のセリフを含めた会話に張られた伏線と映画オリジナルのラスト。
舞台版も見たくなる最高の映画体験でした。
