nagaoKAshunPEi

アルプススタンドのはしの方のnagaoKAshunPEiのレビュー・感想・評価

4.5
見えないからこそ想像することができる。
想像するからこそ見えてくるものがある。

しょうがなくアルプススタンドの端に集まったあの子たちも、野球部のエースで4番の彼も、吹奏楽部の部長でテストも学年1位の彼女も、みんながみんな隣の芝が青く見えていて、大なり小なりもどかしさを抱えて生きている。

他人の心の内を覗くことはできないけれど、声を出せば心の内を曝け出すことができる。粛々と状況を受け入れるのではなく、思い切って声を届けたときアルプススタンドの端から誰かの応援になったと感じるあの錯覚に似た実感こそが、何にも変えがたい輝きに満ちた瞬間なのだ。

見えない画面外こそが雄弁に語るという話法と「他人の心の内を想像する」という物語のメッセージ性が共鳴した青春映画の新たな傑作。
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