まめまめちゃん

アルプススタンドのはしの方のまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

2.0
甲子園球場のアルプススタンドのすみっこで、野球部の応援をさせられに来た高校生3人。彼らと茶道部の顧問教師、アルプススタンドの中心で応援している生徒の描写を挟み、試合の行方に自らの現実をそれぞれに重ね合わせる物語。

グラウンドに立つ同級生の姿にこんなにも心を揺るがされ力をもらえるなんて。アルプススタンドのはしにいる本人たちが誰よりも驚いてるだろうな。でもそれは誰よりも悩んで考えて、時には「しょうがない」って思い込ませたりして、その場その場で出した結論に今も全力で悩んでいるからなのだ…という物語なんでしょうね。

この作品は、ちょっと昔の親目線なのではないかな。自分の子供がそんな高校生であって欲しいっていう願望かもね。

そんなスタンドにいる彼らだって、成績トップとか高校演劇で全国行きとか野球部でスター選手とレギュラーを争ったとか吹奏楽部の部長で彼氏もいるとか所謂、これまでだって頑張ってきたし結果も出してきた、「リア充」たちなのだ。頑張れる場所を与えられそこで力を尽くせること自体が幸せなんだよ、何が「しょうがない」の?って、
無名県立高校テニス部レギュラーのメンバー最下位、県大会1回戦負けして同級生をボーッと応援してたあの日の私が通りますよ。

ついでに言うと本当のアルプススタンドは甲子園球場という桧舞台の応援のど中枢であり、応援の熱さにつぶやきも文句もかき消されることだろう。この物語の背景にさえなりはしないのだ。以上。