TAK44マグナム

パペット・マスターのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

パペット・マスター(2018年製作の映画)
3.6
萌える殺人人形軍団!


シッチェス映画祭で公開されたのを観に行ける予定だったのが予定が合わなくなり、「かなりグロい!」との評判を聞くにつけ悔しい思いをしていた一作。
まるで恋人との逢瀬を待ち焦がれるシンデレラエクスプレスのようにソフトのレンタル開始を待ってアマプラの有料レンタルにて鑑賞しましたよ!

本作は、今までにいくつも製作されている長寿シリーズのリブート作品となります。
秘薬によって命を得た殺人人形たちが活躍するホラーですね。
ウリはなんといっても殺人人形たちのバリエーション豊かなキャラクター。
フィギュアもいくつか持っていますが、ナイフを武器にする主人公格の「ブレイド」や力自慢のハゲ坊主「ピンヘッド」、腕が火炎放射器になっている「トーチ」など、たくさんの種類がシリーズ通して登場しています。
それらの人形たちが残酷に殺人を犯すのを見るための映画ってわけです。
良い趣味=悪趣味していますな!

そんなわけで非常に期待を膨らませて鑑賞にのぞんだのですが、個人的に好きな部分とあまり好きではない部分に真っ二つに分かれた、どっちつかずな作品でもありました。
監督が「悪霊のはらわた」でもエグい趣味を見せつけたソニー・ラグーナなのでグロリンチョな部分はまずまずどころか最高にイカしていましたが、なんというか盛り上げるのが上手くいってない印象。
「このゴアを見せたい!」という思いが先行しすぎてしまっている気がして、ドラマ的な部分は雑でイマイチ盛り上がりに欠けます。
「焦りは禁物、だけど突き抜けるべきところで突き抜けて欲しい」
そんなワガママなホラーファンにとっては
少々、作品自体が小粒に見えてしまうのが勿体なく感じられました。


命を吹き込んだ人形を操るトゥーロンが人形たちを使って大量殺人事件を起こしてから数十年。
トゥーロンは死亡していたが、彼が遺した人形には高値がつき、それらを集めたオークションが開催されることに。
漫画家であり離婚したばかりの主人公は新しい恋人やアメコミショップの店長をしている友人を伴ってオークション会場となるホテルへと赴く。
彼もまた人形の一体を所持していたのだ。
トゥーロンの家を見学した一行だったが、その夜、殺人人形たちが何故か覚醒。
大金を掴めるはずだった催しは、血飛沫舞う地獄へと様変わりしてしまうのだった。
はたして惨劇渦巻くホテルから脱出できるのであろうか・・・?!


聞いていた通り、ゴア描写は満点ですね!
正直、引くほどやり過ぎな場面もありました(汗)
トイレで小便していたら首チョンパされるのはメチャクチャ笑えましたが、妊婦さんが腹を掻っ捌いて出てきた人形に胎児を取り出されるのは流石に悪趣味すぎて笑えませんでした。ドン引き!
いやはや酷い!
妊婦さんの意識がはっきりしているぶん、見てはいけないものを見せられた感が似たような場面で知られる「屋敷女」よりもありましたし、トイレでの惨殺は、ジョーダン・ルービンの「ドローン」で物足りなかったゴアカットが見られて大変満足させて貰えましたよ。
機会がありましたから、「ドローン」と本作のトイレシーンを比べてほしいです。
断然、本作の「頭に小便」の方を支持します!(苦笑)
バカ過ぎて最高じゃないですか!
この点だけならソニー・ラグーナの勝利でしょう!

容赦ない残酷描写のつるべ打ちで、特に駐車場でのカオスっぶりは凄まじく、あれを見たら外へ行こうとは思えなくなるでしょうねぇ・・・
子供だろうがなんだろうが許しちゃくれません。感情のない人形なので無慈悲の極み!
ただひたすら、本能(トゥーロンの命令)の赴くままに殺人を犯すのです。
ただ、シリーズ通してお馴染みのブレイドたちは安定しているとはいえ、新参者の人形たちはネタっぽいのが多く、活躍したりしなかったりと少々ブレ気味。
昆虫型とか全然、活躍の場がなかった。
ミニ総統タイプは皮肉っぽい能力がバカバカしくてウケたけれど(苦笑)
まぁ、このノリだと(表情を変える)ジェスターとか出しにくい人形なのも分かりますけれど、旧シリーズの人形が勢揃いというわけにいかなかったのは少し残念。
ブレイドやトーチも一点ものというわけではなく量産タイプなので、ひとつひとつの人形の個性というよりテンポ良く繰り出される残酷描写を前面に押し出しているのが本作の特徴と言えるでしょう。

ゴアゴアにはお腹いっぱいになれて満足でしたが、情緒的とも言える音楽が個人的に不満でした。
これならもっとホラー、ホラーした音楽でも良かったのではないでしょうか。
どこか物悲しい旋律が、人形による襲撃という笑っちゃうほど残酷な絵面に微妙に合わず、それが盛り上がりを妨げているように思えました。
絵面がじゅうぶんに派手なので、もっとジャジャジ〜ン!とド派手なスコアが鳴り響いても良かったんじゃないかな。

それと、(オリジナル版に出演した)バーバラ・クランプトンや個性派怪優のウド・キアの出演も楽しいですが、あまり役にたつ役柄でないとはいえマイケル・パレが出演しているのが個人的には嬉しいところ。
すっかりB級作品御用達になってしまった感もありますけれど、こうやってコンスタントに映画で顔を見られるのは何よりです。


ラストからすると続編作りたいのがアリアリですがどうでしょう?
これなら何かしらの理由から(例えば兄の魂が乗り移っていたとか)、主人公の持つブレイドだけはトゥーロンの支配を逃れ、主人公を守るように戦うバディものにしても面白いと思ったのですが・・・
アメコミ作家という設定やら何やらも意味がなかったので、ぜひ続編で収拾してほしいところです。
ヒロインが割と好みだったのに勿体ない使われ方になってしまったのも残念でした。

しかしこれもブルーレイの発売は無しですか。
ブルーレイでソフトを収集している身としては、かなり悲しい。
やはり無駄なコストをかけて発売しても実入りが少ないんでしょうかね〜(汗)


アマゾンプライムビデオ(有料レンタル)にて