まめまめちゃん

劇場のまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
3.0
見始めて20分くらいで1度再生を止めた。
この主人公「ナガくん」の心情が台詞となって垂れ流しされていたからだ。しかもそんな台詞なんて想像の範囲内。なら喋らせんな、演技で見せろ、と愚痴るとこだが、
元々ゲームしながら見ていた(聴いていた)私にとってこの設定は好都合だと思い直し再度ゲームを手に取った。邦画のいいとこ発見。

しかし後半30分ほどはゲームを置かずにいられなかった。「ナガくん」のクズさ加減が「いえのなか」だけでなく世間的に露呈するとともに、彼女である「沙希ちゃん」が現実を認識し自らを傷つけていく。「ナガくん」の贖罪ってか赦しを乞う時が、「沙季ちゃん」の自転車を「ナガくん」が押す場面から始まる。この時の「沙希ちゃん」を演じる松岡茉優の横顔から目が離せなかった。本当に素晴らしかった。後で気づいたけど、松岡茉優の出番では私はちゃんと画面を見ていたのだ。

田舎者の私にとって、上京して東京に居続けるためには、家族親戚に説明できる理由が必要だ。「劇団やってる彼と共に夢を追いかける」が理由になる時間は、たまらなく輝いてるけどたまらなく短いものだ。でもそのたまらなく短い時間でも、東京という大きな街に自分の居場所があるという喜びを見出すことができるのだ。「沙希ちゃん」は彼をもうとっくに乗り越えてしまったのだろうが、自らの居場所を作ってくれたことに関しては感謝しているのに違いない。

山崎賢人のビジュアルは。貧乏な夢追い人って雰囲気は一見あるんだけど、育ちが良くて明るい人がたまたまふてくされてるようにしか見えない。自分の身勝手な夢で故郷を捨て劇団員や彼女を傷つけるただのクズなヒモっぽさがイマイチ見当たらなくて残念。全部気持ちを代弁してくれる台詞と松岡茉優頼みだったと思う。
行定監督作品てキャストにお金かかってるから、合わないとわかってるのについ見てしまう。アマプラだったからよかったけど、次は気をつけようっと。