TakahisaHarada

Mank/マンクのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

Mank/マンク(2020年製作の映画)
3.5
「市民ケーン」の脚本家、ハーマン・マンキーウィッツが「市民ケーン」執筆に至った経緯を描く。「市民ケーン」と同じく非直線的な時間軸で、「2時間で男の一生は描けないが、一生を見たように思わせる」作品になってる。本作を通じて主にルイス・B・メイヤーを糾弾する内容になってるところも「市民ケーン」と似てる。

「市民ケーン」を観ていないと分からないところが多そうだし、舞台になる1930年代ハリウッドについても知っておくとより楽しめたのかなと思う。
「市民ケーン」観てから鑑賞したけど、退屈な時間が長めだなと思ってしまった。

マンクが執筆に至った最大の理由は、1934年カリフォルニア州知事選挙でのフェイクニュースやプロパガンダ映画を通じた政治的思想植え付けへの反発。メイヤーたちがヒトラーを批判するシーンも風刺っぽく描かれてる。

マンクが元々ハーストに気に入られてたこととか、妻のマリオン・デイヴィスとも親交があったことは作品を観るまで知らなかった。実際に第一稿完成後にマリオン・デイヴィスが抗議に来るシーンもある。「市民ケーン」を観たときはメディア王に喧嘩を売ったオーソン・ウェルズの凄さを感じたけど、本作を観ると身近なハーストやマリオンを作品にして、抗議を受けながら執筆を続けたマンクの思いの強さが伝わってくる。
他にも弟ジョーゼフが著名な映画制作者だったとか、マンク自身がユダヤ人を支援してたとか、執筆の経緯と絡めつつ知らなかった事実が色々描かれてるのは良い。