真田ピロシキ

モータルコンバットの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

モータルコンバット(2021年製作の映画)
3.5
ゲーム映画、しかも格ゲー映画とあっては見に行かない訳にはいかない。すぐ終わりそうだからマッハで行ってきましたよ。モーコンは大昔にスーファミか何かでやってあまりのアメリカンな作りに適応できませんでした。最新作ではターミネーター、ロボコップ、ジョーカー、ランボーがゲスト出演してるのは知っていますが、通常のキャラはよく知りません。格ゲーは好きですが日本版が出てないと流石に厳しい。でも昔からいるキャラならある程度は分かるので、スコーピオン、サブゼロ、ライデン、ゴローなどお馴染みのキャラがいて安心。

それで見始めたのですが主要キャラで最初に出てくるのが日本が誇る最大のハリウッドスター真田広之さんなのが嬉しくて、アクションシーンには誤魔化しがなく真剣味が感じられました。広之さんを亡き者にしたサブゼロさんは現代の世でも暗躍してガタイの良いジャックスさんと死闘を繰り広げ、主人公ズの皆さんもステルストカゲを死物狂いで倒したり闘いにガチ味がある。しかし敵の魔界衆の方々が攻め込んで来てからは映画のカラーは変化。次々と能力に覚醒する様は格ゲー映画と言うよりアメコミ映画を見ているようで醒めた。格ゲーの妙味はジリジリとした通常技の差し合いにあって派手な必殺技は決めれる時に出す奴じゃん?いや、モーコンの場合はよく知らんけど。それが能力に頼り切った闘いには初心者同士の対戦を見てるように感じたんですよね。しかも通常の格闘戦がなかなか良かっただけに勿体ない。またキャラクター演出もアメコミっぽくて、残虐なキャプテンアメリカや能力で義手をパワーアップしたジャックスさん、X-MENにいそうな羽の生えた女の人、ジョーカーみたいな口した女の人ーこれは結構気に入ってたー等ガチをあまり感じられなくなってた。過去にはDCコミックとコラボした格ゲーを出してはいたがそれにしても。そんな中、唯一非能力者であるソニアさんという女性がいるのだが、彼女が地の利と徹底した近接戦を駆使して悪いサイクロップスを倒したのは格ゲー的で痛快。ざまあみろ飛び道具頼りのバカめ。ザンギエフ様に弟子入りして出直して来るが良い。彼女を足手まといと断言していた浅野ライデン氏の目は光っているけど節穴です。そんな彼女も龍のマークを持った者を殺せば殺した者に移るという設定のために覚醒しちゃうんだけどね。

最初に死んだ広之さんは終盤目出度く人気キャラのスコーピオンとして復活。すっかり主役を喰ってる広之さんの格は流石。しかし未だオリエンタリズムジャパンを消費しているハリウッドで正しい日本の理解を深めようと日々努力してらっしゃるという広之さん的にハンゾー・ハサシなんて名前はOKだったんだろうか。多分原作からしてそうなんだろうけど、そもそも広之さん程の人が何故この映画に出たのか不思議だ。スコーピオンと相対するこれまた人気キャラのサブゼロさんは野心も持たずに400年もせっせと働く悪役の癖に勤労精神に溢れるお方で、敵の親玉は代わりなどいくらでもいるわーと負け惜しみを吐いていたがいやーサブゼロさん程のお方はそうそういないと思います。サブゼロさんの死くらいは悼んでないと人望なくすぞと忠告したい。スコーピオンとサブゼロさんの闘いは能力戦もあるが主とするのは格闘技術なのが本作を格ゲー映画に戻してて良い。ところでサブゼロさんが地面を踏んで氷を発生させる技がストリートファイターVのコーリンとそっくりだったんですがまさかモーコン由来だったんですかね?

格ゲー映画らしさが若干弱まったので3点くらいのスコアかなと思いましたが、ゲーム映画としてはチープさもなくて普通に見れるし、足払いや飛び蹴りなど昔ゲームで見たのと同じモーションが再現されてるので評価を上げました。この分だとモーコンの代名詞であるフェイタリティも立派に再現されてそう。それと最後の音楽が昔のポール・ W・S・アンダーソン版っぽいのも思わず笑った。これを少し上げたくらいのクオリティで新しいストリートファイターの映画撮ってくれたら全私が喜びますのでお願いします。